■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】 IT導入に取り組む江戸っ子7代目社長 8A03
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■ IT導入に取り組む江戸っ子7代目社長 8A03
東京・神田川のほとりに、整備や保険、レンタカー、販売まで、クルマ全般のサービスを提供する福井自動車(東京都千代田区)がある。創業は江戸時代の天保年間。法人設立後70年を数え、大八車、自転車、二輪車、自動車と同社が扱う乗り物は進化を続けてきた。現在の社長は7代目の土田千恵さん(52歳)。「この地で長く商売してきたのでお客さまも2代、3代に渡っている。旧町名の『松住町の福井さん』というつきあいなので、なくすほうが難しい」と2014年3月に47歳で叔父から事業承継した。
親族が経営する同社に入社後、総務や人事など管理部門を一手に引き受けてきた土田さんが、6年前に役員になって最初に手をつけたのが社内ネットワークの構築と社内で情報を共有できるグループウェアの導入だった。それまで会社の予定表は紙に各自が予定を書き込む方式だったが、煩雑で分かりづらい。整備工場の予定が、社外からでも2階の事務所からでも把握できるようにした。すると、営業は自分の担当するクルマの整備が終わったがどうか分かるため、帰社してすぐ納車に行くことができる。社内のコミュニケーションも大きく改善した。
「便利さが実感できると、いいね!ということになる。うちみたいな小さい会社は新しいITツールをハイ使え、と言っても浸透しない」と土田社長。従業員は一番若手が26歳、その上が33歳、あとは40代、50代で70代も1人いる。「人によってIT力に天と地ほどの差がある。こんなに便利になるからと手取り足取りして、使いこなせるようになるまで一緒にやるのが大事です」と話す。
総務や経理部門のIT化は社員の働き方改革につながるし、本業の自動車整備業そのもののIT化も、今後の生き残りに直結する大きな課題だ。同社の2018年3月期の売上高は約4億5000万円。利益は約2000万円。自動運転のクルマなど激変する業界のなかで健闘しているが、IT関係の経費をいかに抑えるか、背中合わせの舵取りが続く。
土田社長の実父であり、昨年亡くなった5代目の福井忠雄氏はこう言った。「いい会社っていうのは大きい会社ではなくて、長く続く会社だ。同じことをずっとやっていても時代にそぐわなくなって、うまくいかなくなる。自動車じゃなくてもいいから、この松住町で長く商売を続けてほしい。不易流行だよ。」
伝統を踏襲しつつ、新しいことを随時取り入れていく。IT化は父の遺言のようなものだ。江戸っ子7代目の土田社長は「全てを一気に変えるのは難しいが、時代に取り残されないよう取り組んでいきたい」と考えている。
出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成
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