長時間労働と残業禁止

電通の女子社員が、過労により自殺し労働災害に認定されました。これにより電通の社内に査察が入ったり色々と話題になっています。

やはりこういった企業は、体質的に長時間労働が普通になっているようです。電通はこの対策として、夜10時以降は帰宅するというようなシステムを入れたようですが、これでもかなり遅いような気がします。さらにこういった規則もほとぼりが冷めれば、なし崩し的に意味を持たなくなるような気もします。

私が派遣社員として勤務していた企業研究所も、私が退職する1年ほど前から、水曜日をノー残業デーとして、定時退社を推奨するようになりました。ここは5時半までが勤務時間で、私は7時ごろまで残っていることがほとんどでした（管理職扱いで残業代は出ない契約でした）。

研究所というのは特殊なのか、残業をしているのかどうかわからないのに、遅くまで残っている研究員が多い部署です。この水曜日の定時退社が導入されてすぐは、おそらく１／３ぐらいは早く帰っていたような気がします。しかしすぐにこのシステムはなかったように、元に戻ったようですが、水曜日には飲み会が増えたと聞いています。

一般的にも極端なところでは、残業禁止などという指示が出たところもあるようです。しかしほとんどの職場が、ある程度の残業を前提に仕事が進んでいるのに、いきなり禁止にして労働者にメリットが出るのでしょうか。

当然やるべき仕事量が減るわけでもなく、人員の補充がある訳でもないようです。時間内の効率を上げるといっても、それまでサボっていたわけではないので限界があるでしょう。そうすると仕事に優先順位をつけ、低い仕事は切り捨てたり、仕事の質を落とすということになります。

しかし優先順位をつけるということは、個人によって異なりますので、よほど優秀な管理職がいない限り、職場がバラバラになってしまう可能性は高いような気がします。しかしこういうことは慣れてくるとそれなりにできるような気もしますが、本当に労働者のためになるかどうかは怪しい気もします。

長時間労働は確かに問題ですが、残業禁止などはあまりにも極端で、単に企業側の人件費削減に役立つだけのような感じです。

こういった問題は電通のような一流企業でも、長時間労働を前提にしたような、ブラック企業に近い体質のものから、全く残業なしでやっているような極端な例が出てきますが、結局は経営者と労働者双方の意識が徐々に変わっていくことを待つしかないような気がしています。