先日NHKスペシャルで、タイトルのガン治療革命という番組を見て、非常に感激したという話を書きました。
30年ほど前の私が現役で有ったころから、ガン細胞の遺伝子が変異した部位を解析し、その変異に適した薬を使うのが、ガン治療の最も効果的な方法であると主張していたのです。というより当時は夢を語っていたのが、この番組で実現し始めたことが実感できたわけです。
この時治療に使うのが、分子標的薬といわれる薬です。この番組では医療費はさらっと流していましたが、多くは保険適用外となるため月に90万円程度を負担することになるようです。これではかみさんが怒るように、金持ちしかガンを治せないことになってしまいます。ここではこの高額の分子標的薬について書いてみます。
遺伝子というのは、いわばタンパク質の設計図といえます。遺伝子が変異することによって、普通と異なるタンパク質が生産され、それが細胞のガン化を進めているのであれば、このタンパク質の機能を止めてしまえばよいことになります。こういったタンパク質を特異的に認識して、その機能を止めるものは天然に存在し、免疫システムの一つである抗体ということになるわけです。
現在は多くの抗体医薬が開発され、分子標的薬の主流となっています。特定のタンパク質と結合するような抗体を設計し、作り出すことはできるのですが、問題はその製造法です。
抗体も小さなタンパク質ですが、化学合成で作ることはできず、動物細胞培養が必要となります。どんな細胞を使えば効率よく増殖させることができるかなど、いろいろ問題は多いようですが、現在はほとんどがマウスの細胞を使っているようです。
その細胞に人間の抗体の遺伝子を組み込むわけですが、元がマウスの細胞ですので、ヒト型抗体を作るまでにはかなり多くの壁を乗り越える必要があったようです。動物細胞は基本的にある程度増殖して、密度が高まると増殖が止まるという性質があります。現在はある程度の高密度培養が可能になったようですが、大量培養の効率はそれほど良くなってないようです。
つまりこの培養自身がかなりコストがかさむものです。また動物細胞中にはかなり大量の生きるために必要なタンパク質が存在し、その中に目的とする抗体タンパク質が混ざっているという結果になります。従って無数のタンパク質の中から、必要なものを取り出す分離精製が必須の工程となります。しかもタンパク質はすこしの熱がかかっても活性を失う性質がありますので、非常に微妙な条件が必要となり、ここでもかなりのコストがかかってしまいます。
こういったことが重なり、分子標的薬は非常に高価なものとなっているわけです。これをどう解決するのか、私見を次に続けます。
30年ほど前の私が現役で有ったころから、ガン細胞の遺伝子が変異した部位を解析し、その変異に適した薬を使うのが、ガン治療の最も効果的な方法であると主張していたのです。というより当時は夢を語っていたのが、この番組で実現し始めたことが実感できたわけです。
この時治療に使うのが、分子標的薬といわれる薬です。この番組では医療費はさらっと流していましたが、多くは保険適用外となるため月に90万円程度を負担することになるようです。これではかみさんが怒るように、金持ちしかガンを治せないことになってしまいます。ここではこの高額の分子標的薬について書いてみます。
遺伝子というのは、いわばタンパク質の設計図といえます。遺伝子が変異することによって、普通と異なるタンパク質が生産され、それが細胞のガン化を進めているのであれば、このタンパク質の機能を止めてしまえばよいことになります。こういったタンパク質を特異的に認識して、その機能を止めるものは天然に存在し、免疫システムの一つである抗体ということになるわけです。
現在は多くの抗体医薬が開発され、分子標的薬の主流となっています。特定のタンパク質と結合するような抗体を設計し、作り出すことはできるのですが、問題はその製造法です。
抗体も小さなタンパク質ですが、化学合成で作ることはできず、動物細胞培養が必要となります。どんな細胞を使えば効率よく増殖させることができるかなど、いろいろ問題は多いようですが、現在はほとんどがマウスの細胞を使っているようです。
その細胞に人間の抗体の遺伝子を組み込むわけですが、元がマウスの細胞ですので、ヒト型抗体を作るまでにはかなり多くの壁を乗り越える必要があったようです。動物細胞は基本的にある程度増殖して、密度が高まると増殖が止まるという性質があります。現在はある程度の高密度培養が可能になったようですが、大量培養の効率はそれほど良くなってないようです。
つまりこの培養自身がかなりコストがかさむものです。また動物細胞中にはかなり大量の生きるために必要なタンパク質が存在し、その中に目的とする抗体タンパク質が混ざっているという結果になります。従って無数のタンパク質の中から、必要なものを取り出す分離精製が必須の工程となります。しかもタンパク質はすこしの熱がかかっても活性を失う性質がありますので、非常に微妙な条件が必要となり、ここでもかなりのコストがかかってしまいます。
こういったことが重なり、分子標的薬は非常に高価なものとなっているわけです。これをどう解決するのか、私見を次に続けます。