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ワイン酵母を用いてビールを醸造

2016-11-19 10:45:25 | 自然
キリンビールは、ワイン酵母を用いた柑橘香と甘味を付与するビール醸造技術を開発したと発表しました。

ビール醸造において、酵母はホップの香気成分を変換するとともに、甘味・苦味のバランスを取るのに重要な役割を担っていることが知られています。同社は今回、酵母、清酒酵母、ワイン酵母、ウイスキー酵母など合計約1100株からなる独自の酵母バンクを活用し、ホップ由来のゲラニオールから柑橘香物質であるβ-シトロネロールへの高変換能を持つ酵母を選抜しました。

この反応はゲラニオールへの水素の付加反応ですが、生成するシトロネロールはバラの香り成分としても知られています。焼酎酵母、ワイン酵母、および上面発酵酵母株114株について試験管スケールでの発酵試験を実施しました。

その後、β-シトロネロール生成能の高かった株については、スケールアップして再評価を行いました。さらに、仕込み工程における糖化条件を最適化することにより、単糖対マルトースの比率を制御し、発酵後にマルトースを残留させることで甘味付与にも取り組みました。

この結果、β-シトロネロール生成能の高い株として、高変換能を持つワイン酵母WIY40株を選抜しました。さらに、このWIY40株を用いて、仕込み・発酵の条件を最適化し、マルトースを残留させることで甘味付与を実現したそうです。

同社は今回の成果について、柑橘香が豊かで自然な甘みが強調され、苦味が抑えられたビールの開発が可能となったようです。

こういった試みはビール各社で行われているようで、サッポロビールもブドウ果汁に含まれる「アントシアニン」が酵母に作用することで、赤ワインの特徴的なアロマ成分の一種である「ジアセチル」の量を高めていることを明らかにしたと発表しました。

ジアセチルはアロマ成分かもしれませんが、男性のいわゆる加齢臭の原因物質とされ、どちらかというと嫌な臭いとされています。香料というのは不思議なもので、そのもの自身がかなり嫌な臭いであっても、他の香料と混ざり合ったり、ごく微量だと良い香りに感じるようです。

ジアセチルは、赤ワインの特長的なアロマのひとつで、ほかの酒類や白ワインと比べ、赤ワインでは含有量が高く、少し甘い後香を残したり、味の厚みにもつながる香りを醸すといわれています。

同成分が赤ワインで高い理由はこれまで、赤ワイン特有の乳酸菌発酵によるものとされてきました。今回これがアントシアニンによって発酵中の酵母が作用されることが分かり、ジアセチルの変化にかかわる酵母の遺伝子も特定したようです。これはワインの話ですが、酵母は酒に関しては本当に面白い働きをするようです。