高額医療ということでいろいろ話題を集めていたオプジーボが、薬価が改訂され半額になり、それはそれでまた話題になっています。
この薬についてはガン治療革命という項目の分子標的薬ということで取り上げましたが、ここでは日本の薬価制度と絡めて書いてみます。
日本の薬の価格は世界でも珍しく、薬を作った製薬会社ではなく、厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)が、一般にも公開されている基準で保険薬価を決定しています。この組織は、健康保険に関わる人(保険料や診療報酬を支払う側)、医療関係者(診療側)、その分野に詳しい有識者など(公益側)で構成されています。
薬価の決定方法は大きく分けて、類似薬がある場合とない場合に分けられます。大部分は新薬といっても、比較する薬がないほど薬効のメカニズムなどが新しいことは無く、類似薬が存在します。この場合は類似薬の薬価を参考に決定されるわけです。通常は開発段階の臨床第3相試験での対照薬として用いた薬の薬価+αというのが一般的です。
この場合新薬を作るのにいくらかかったかという、原価は全く考慮されませんので、原価が非常に低い薬は大幅な利益が見込めるのですが、製造コストが高いような薬はほとんど利益が出ないということになります。
余談ですが私がかかわった薬は、合成工程が長く、途中光学分割という半分捨ててしまう工程が入り、非常にコストが高くなってしまいました。臨床開発はやったのですが、この日本の薬価制度では高い薬価は期待できず、採算が合わないことが予想されました。結局アメリカの会社に導出し、海外で販売することになりました。せっかくに日本で開発した薬が、海外では市販されているのに、日本では使われないという奇妙な現象になってしまいました。この辺りは日本の薬価制度の問題点かもしれません。
さてオプジーボは前にも書いたように全く新しい概念のガンの薬ですので、類似薬が存在しません。この場合薬価は「原価計算方式」という方法が採用されます。これは新薬の製造原価に色々なものをプラスして決定されます。その中に研究開発費が含まれ、オプジーボの場合は15年とされていますので、この部分が多額になったのかもしれません。
またこのように決定された薬価は、2年に一度見直しが行われ改定されます。オプジーボの場合は特例として中間の時期で75万円が半額になりました。私の予想では、海外価格など考えると十数万円までは下げる余地がありそうな気がします。それでもかなり高額ですので、現在の抗体医薬の流れを、低分子に置き換える必要は高いと感じています。
この薬についてはガン治療革命という項目の分子標的薬ということで取り上げましたが、ここでは日本の薬価制度と絡めて書いてみます。
日本の薬の価格は世界でも珍しく、薬を作った製薬会社ではなく、厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)が、一般にも公開されている基準で保険薬価を決定しています。この組織は、健康保険に関わる人(保険料や診療報酬を支払う側)、医療関係者(診療側)、その分野に詳しい有識者など(公益側)で構成されています。
薬価の決定方法は大きく分けて、類似薬がある場合とない場合に分けられます。大部分は新薬といっても、比較する薬がないほど薬効のメカニズムなどが新しいことは無く、類似薬が存在します。この場合は類似薬の薬価を参考に決定されるわけです。通常は開発段階の臨床第3相試験での対照薬として用いた薬の薬価+αというのが一般的です。
この場合新薬を作るのにいくらかかったかという、原価は全く考慮されませんので、原価が非常に低い薬は大幅な利益が見込めるのですが、製造コストが高いような薬はほとんど利益が出ないということになります。
余談ですが私がかかわった薬は、合成工程が長く、途中光学分割という半分捨ててしまう工程が入り、非常にコストが高くなってしまいました。臨床開発はやったのですが、この日本の薬価制度では高い薬価は期待できず、採算が合わないことが予想されました。結局アメリカの会社に導出し、海外で販売することになりました。せっかくに日本で開発した薬が、海外では市販されているのに、日本では使われないという奇妙な現象になってしまいました。この辺りは日本の薬価制度の問題点かもしれません。
さてオプジーボは前にも書いたように全く新しい概念のガンの薬ですので、類似薬が存在しません。この場合薬価は「原価計算方式」という方法が採用されます。これは新薬の製造原価に色々なものをプラスして決定されます。その中に研究開発費が含まれ、オプジーボの場合は15年とされていますので、この部分が多額になったのかもしれません。
またこのように決定された薬価は、2年に一度見直しが行われ改定されます。オプジーボの場合は特例として中間の時期で75万円が半額になりました。私の予想では、海外価格など考えると十数万円までは下げる余地がありそうな気がします。それでもかなり高額ですので、現在の抗体医薬の流れを、低分子に置き換える必要は高いと感じています。