世界的な問題である認知症は、世界で2015年に4680万人、50年には1億3150万人になると予想されています。
現在100を超えるアルツハイマー病の治療候補薬が治験中で、アメリカの会社がこの治験薬開発中止を発表後この会社の株価が10%下落して話題になりました。
日本では現在4種の抗認知症薬が認可されており、最初がアルツハイマー病とレビー小体型認知症の治療薬としてアリセプトが1999年に発売されました。これは閉じ込められていた認知症の家族や患者を病院に足を運ばせ、薬で治せる病気という認識が広まった、社会を変えるきっかけとなった薬と言えます。
これらは脳内の伝達物質であるアセチルコリンを補うといった作用ですが、2011年に発売されたメマリーはアルツハイマー病治療薬で、記憶に関わるタンパク質の働きを改善して神経細胞を守るというものでした。しかしこれらはあくまで進行を遅らせるだけの物であり、根治薬は見つかっていません。
アルツハイマー病は老人班、神経原線維変化、脳萎縮が起こる病気ですが、老人班はアミロイドβタンパク質の沈着で、神経原繊維化はタウタンパク質の蓄積によるものと80年代から分かっていました。またその後の研究で発症の25~15年前からアミロイドとタウの蓄積が始まることもわかりました。
2012年にソラネズマブの臨床試験が、ごく初期のステージにある人には有意の有効性を示唆する発表をしたこと受け、アメリカNIHが発症前の予防薬の開発を提案しました。これを受けて製薬メーカーは一斉に、薬の開発目標を進行抑制から発症抑制へとシフトしました。アルツハイマー病の発症を5年遅らせれば、患者総数が半分になるという試算も出ています。
アミロイドは神経細胞の細胞膜にあるタンパク質が2種の酵素により両端を切断されてできた破片であり、通常は分解され排出されます。これが排出されず2〜30個が結合して小さな凝集体であるアミロイドオリゴマーになることにより蓄積していくことが分かっています。
2012年のアミロイドワクチンもこの蓄積の除去はできるものの、認知機能の低下は進行するという報告もありました。現在、アミロイドと結合し、脳内で異物を排除する役割を担うグリア細胞に除去させる薬剤や、切断してアミロイドを作る酵素を阻害する薬剤が開発されています。
しかしこの治験に不可欠なのが、未発症の人のボランティアと言われています。これに対しては「レジストリー研究」という登録制度が実施され、何とか対応しようとしているようです。
このように認知症の予防薬の治験は進んでいますが、自分が発症予備軍に入っているかなどの情報をどうやって得るかなどの難しさはあります。それでもある程度予防できれば、患者数の増加に歯止めがかかるのではと思っています。
現在100を超えるアルツハイマー病の治療候補薬が治験中で、アメリカの会社がこの治験薬開発中止を発表後この会社の株価が10%下落して話題になりました。
日本では現在4種の抗認知症薬が認可されており、最初がアルツハイマー病とレビー小体型認知症の治療薬としてアリセプトが1999年に発売されました。これは閉じ込められていた認知症の家族や患者を病院に足を運ばせ、薬で治せる病気という認識が広まった、社会を変えるきっかけとなった薬と言えます。
これらは脳内の伝達物質であるアセチルコリンを補うといった作用ですが、2011年に発売されたメマリーはアルツハイマー病治療薬で、記憶に関わるタンパク質の働きを改善して神経細胞を守るというものでした。しかしこれらはあくまで進行を遅らせるだけの物であり、根治薬は見つかっていません。
アルツハイマー病は老人班、神経原線維変化、脳萎縮が起こる病気ですが、老人班はアミロイドβタンパク質の沈着で、神経原繊維化はタウタンパク質の蓄積によるものと80年代から分かっていました。またその後の研究で発症の25~15年前からアミロイドとタウの蓄積が始まることもわかりました。
2012年にソラネズマブの臨床試験が、ごく初期のステージにある人には有意の有効性を示唆する発表をしたこと受け、アメリカNIHが発症前の予防薬の開発を提案しました。これを受けて製薬メーカーは一斉に、薬の開発目標を進行抑制から発症抑制へとシフトしました。アルツハイマー病の発症を5年遅らせれば、患者総数が半分になるという試算も出ています。
アミロイドは神経細胞の細胞膜にあるタンパク質が2種の酵素により両端を切断されてできた破片であり、通常は分解され排出されます。これが排出されず2〜30個が結合して小さな凝集体であるアミロイドオリゴマーになることにより蓄積していくことが分かっています。
2012年のアミロイドワクチンもこの蓄積の除去はできるものの、認知機能の低下は進行するという報告もありました。現在、アミロイドと結合し、脳内で異物を排除する役割を担うグリア細胞に除去させる薬剤や、切断してアミロイドを作る酵素を阻害する薬剤が開発されています。
しかしこの治験に不可欠なのが、未発症の人のボランティアと言われています。これに対しては「レジストリー研究」という登録制度が実施され、何とか対応しようとしているようです。
このように認知症の予防薬の治験は進んでいますが、自分が発症予備軍に入っているかなどの情報をどうやって得るかなどの難しさはあります。それでもある程度予防できれば、患者数の増加に歯止めがかかるのではと思っています。