ごっとさんのブログ

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残業代ゼロ法案が法律化するのか

2017-07-28 10:41:02 | 時事
現政権の「働き方改革実現会議」のなかで長時間労働の是正策など話し合われていますが、継続審議となっている「高度プロフェッショナル制度」(残業代ゼロ法案)に風当たりが強くなっています。

この法案に対して連合が条件付きで認めるという方針を出し、法制化が進みそうになっています。これに対して反対の立場からのコラムが出ていました。

この法案の骨子は、年収1,075万円以上の(正確には年間平均所得額の3倍を上回る額)専門性の高い職業についている人の労働時間を規制対象から外すというものです。労働関連法はほとんどが労働者を守るためにある訳ですが、高年収の専門職をこういった規制から外すもので、特に残業代をなくすだけのものではないようです。

ですからこの法案の目的は、自由な働き方を日本に定着させるという側面もあるようです。仕事の成果で処遇される働き方が浸透すれば、長時間労働も是正されるだろうという考え方のようです。

私の感じとしてはわざわざこんな制度を作らなくても、日本には管理職というシステムがあります。これも企業によって違うのかもしれませんが、通常管理職になると残業代はつかなくなる代わりに、時間も自由になり自分の裁量で仕事ができるようになります。

昔は管理職になると部下を持ち一つのグループを運営する立場ということでしたが、現在は管理職になっても部下はなく、自分一人で仕事をするということが多くなっているようです。つまりこんな法制度がなくても、この制度と同じような職種の人は大勢いることになります。

本来日本では「働き方改革」が進まないのは、海外が「仕事に人を付ける」という基本なのに、日本は「人に仕事を付ける」という立場をとっているためではないかと思っています。

つまり欧米ではこういう仕事があるからと人を雇い、その仕事がなくなれば解雇するのが当然のようです。ところが日本では、その仕事がなくなってもその人ができそうな仕事を探して、新たな仕事をやらせるという方が普通だと思っています。

私の勤務していた会社でも、技術系として採用した人を、事務・営業部門に動かすなど多くありました。多分基本には終身雇用という感覚が今でも残っているのではないでしょうか。

こういった働き方を好まない人が、派遣社員などの非正規社員として色々な会社で働くシステムができてきたのかもしれません。現在の正規・非正規の問題はそれほど単純ではありませんが、企業の方もこの仕事ができれば誰でもよいという意識が出てきているようです。

横道にそれてしまいましたが、この残業代ゼロ法案ができたからと言って、長時間労働などの今の働き方の問題点が解決できるわけではありません。この制度の対象者を拡大することで、残業代も出ない労働者が増える可能性があるのであれば、無理に通すような法案ではない様な気もします。