ごっとさんのブログ

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睡眠薬と寝酒

2019-08-22 10:43:20 | 
日本人の成人の約20人に1人、50歳代後に限れば6~7人に1人が、病院などで処方された睡眠薬を服用しています。

睡眠薬は最も使用頻度の高いクスリのひとつですが、使用を怖がる人も多いクスリでもあります。現在日本で処方されている睡眠薬の作用機序は大き三つに分けられます。

一つ目は脳内のGABA-A受容体に作用するタイプで、GABAは神経の働きを抑制する神経伝達物質で、この受容体はGABAが結合して作用を発揮する部位です。

服用した睡眠薬は腸管から吸収され、血液に乗って脳内に到達し、GABA-A受容体に結合することで脳を覚醒させる神経の動きを抑え、眠気をもたらします。このタイプの睡眠薬は、日本国内で処方される睡眠薬の8割以上を占めています。

1967年、今から50年以上前に初めて登場して以降、これまでに10種類以上発売され、処方する医師にとって最もなじみのある睡眠薬です。

GABA-A受容体に作用する睡眠薬の一部は、服用しているうちに効果が弱くなる(耐性)、中止した際に不眠や動悸、発汗などの離脱症状が出現するなどの身体依存(依存症の一種)が生じることがあります。不必要に服用しない、医師の指示なしに急に中断しないなどの注意が必要です。

睡眠薬に抵抗があるため、寝酒に頼る人もいるようです。酒を飲むと眠くなりますが、アルコールもGABA-A受容体に結合します。つまり酒とこの睡眠薬は同じメカニズムで眠気をもたらします。

しかも酒の場合には、耐性で効果が弱くなるにつれ以前よりも量が増えていきやすい、休肝日は離脱症状で眠りにくくなるなどの身体依存が生じます。つまり寝酒は依存リスクのある睡眠薬を服用しているのと同じと言えます。したがって「寝酒」の方が安心というのは全くの誤解としています。

二つ目のタイプは、脳内のメラトニン受容体に作用するタイプです。メラトニンは主に夜に分泌され、今から夜が始まるという体内時計(生体リズム)の情報を身体中に伝えるホルモンです。

このタイプの睡眠薬は、メラトニン受容体に結合することで、体内時計の時刻を合わせるのと同時に眠気をもたらします。2010年に発売され、まだ1種類しかありません。

三つめのタイプは、脳内のオキシレン受容体に作用するタイプです。オキシレンは脳を覚醒させるホルモンで、このタイプの睡眠薬は受容体に結合して蓋をしてしまうことで、脳内のオキシレンが作用しにくくなり眠気が生じます。2014年に世界に先駆けて日本で登場した最も新しい期待の睡眠薬です。

この様にいろいろな睡眠薬はありますが、私は眠るために飲んでいるわけではない「寝酒」の習慣を続けるつもりです。