昨日贈呈式の話を書きましたが、その次の日に昔の研究室仲間が集まる会が新宿でありました。
もう30年以上前H研究室で、抗生物質の合成研究をしていた仲間が女性2名も含め11人集まりました。このプロジェクトはHさんが始め、他の研究所も巻き込み10年続いたかなり大きなもので、私は後半の6年間メンバーとなっていました。
今回は我々が合成した化合物の評価(微生物や動物実験)を担当していてくれたSさんも出席しました。Sさんは私と同期入社で、ずっと研究所は異なるものの動物実験などの細かいところまで教えてもらいました。
このプロジェクトでは開始6年目ぐらいに非常に面白い化合物を開発しました。薬効的には当時最も良いとされる薬物とほぼ同じで、あまり特徴が出ませんでした。
ところがこのSさんが、マウスの代謝を調べたところデータとしてはほぼ同じという結果が出たのですが、感触としてやや血中持続時間が長い気がするというのです。私はこの結果に非常に興味がありました。
マウスというのは動物の中でも非常に代謝が早いことが知られていました。Sさんは人間に近い代謝を持つ大動物(具体的にはイヌですが)で調べれば、差が出て来るのではないかとのことでした。
この結果をHさんに報告したところ、かなり注目したようですが、大動物で実験するということはかなりのサンプルが必要となります。この量を計算したところ、私の所属する研究所ではとても作れない量になりました。
ここからボスのHさんの奮闘が始まり、関西の合成工場付属研究所に話を持っていき、そこのパイロットプラントを動かすことになったのです。そこで我々の仲間がこの研究所に長期出張し、技術を移転しなんとか大動物実験するサンプルを確保したのです。
これをSさんがイヌで実験したところ、既存薬は1日3回投与しているものが、1回で十分血中濃度が維持できるという結果が出て、新薬として開発が決定しました。
残念ながらこの薬は合成工程が長く、日本の薬価制度ではコストが合いそうにありませんでした。そこでアメリカに導出し、なんとか新しい抗生物質として販売することができました。
この新薬開発には、我々合成陣と動物実験グループが非常にうまくかみ合ってやっと日の目を見ることができたと感じています。
今回の集まりではこういった話を懐かしい思い出としていろいろ話し合いました。何しろ30年以上前の仲間ですので、全員退職してそれぞれの生活をしているようでしたが、こうした苦労を共にした仲間というのは、何年たっても楽しい話ができるものです。
もう30年以上前H研究室で、抗生物質の合成研究をしていた仲間が女性2名も含め11人集まりました。このプロジェクトはHさんが始め、他の研究所も巻き込み10年続いたかなり大きなもので、私は後半の6年間メンバーとなっていました。
今回は我々が合成した化合物の評価(微生物や動物実験)を担当していてくれたSさんも出席しました。Sさんは私と同期入社で、ずっと研究所は異なるものの動物実験などの細かいところまで教えてもらいました。
このプロジェクトでは開始6年目ぐらいに非常に面白い化合物を開発しました。薬効的には当時最も良いとされる薬物とほぼ同じで、あまり特徴が出ませんでした。
ところがこのSさんが、マウスの代謝を調べたところデータとしてはほぼ同じという結果が出たのですが、感触としてやや血中持続時間が長い気がするというのです。私はこの結果に非常に興味がありました。
マウスというのは動物の中でも非常に代謝が早いことが知られていました。Sさんは人間に近い代謝を持つ大動物(具体的にはイヌですが)で調べれば、差が出て来るのではないかとのことでした。
この結果をHさんに報告したところ、かなり注目したようですが、大動物で実験するということはかなりのサンプルが必要となります。この量を計算したところ、私の所属する研究所ではとても作れない量になりました。
ここからボスのHさんの奮闘が始まり、関西の合成工場付属研究所に話を持っていき、そこのパイロットプラントを動かすことになったのです。そこで我々の仲間がこの研究所に長期出張し、技術を移転しなんとか大動物実験するサンプルを確保したのです。
これをSさんがイヌで実験したところ、既存薬は1日3回投与しているものが、1回で十分血中濃度が維持できるという結果が出て、新薬として開発が決定しました。
残念ながらこの薬は合成工程が長く、日本の薬価制度ではコストが合いそうにありませんでした。そこでアメリカに導出し、なんとか新しい抗生物質として販売することができました。
この新薬開発には、我々合成陣と動物実験グループが非常にうまくかみ合ってやっと日の目を見ることができたと感じています。
今回の集まりではこういった話を懐かしい思い出としていろいろ話し合いました。何しろ30年以上前の仲間ですので、全員退職してそれぞれの生活をしているようでしたが、こうした苦労を共にした仲間というのは、何年たっても楽しい話ができるものです。
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