全身の筋肉が徐々に衰える難病「筋ジストロフィー」の新しい治療薬が今年5月に発売されました。
これまでは症状の進行を穏やかにする対症療法に限られていましたが、新薬は症状の改善につながる効果が期待されています。筋ジストロフィーは、筋肉の破壊と再生に関係する遺伝子に異常があることで生じます。異常のある遺伝子の部分によってさまざまなタイプに分かれています。
代表的なのは、男児のみが発症する「ヂュシェンヌ型」と呼ばれるタイプで、筋肉の細胞の間に存在して枠のように補強する、ジストロフィンというタンパク質を生まれつき作ることができません。
5歳ごろをピークに運動機能が徐々に衰え、10歳前後で歩けなくなり、呼吸機能の低下で人工呼吸器が必要となります。国内の患者数は約4000人と推定されています。
一般的な治療法は、ステロイド薬の服用や関節が固まらないように動かすリハビリなどで進行を遅らせますが、長期の服用は肥満や骨がもろくなるなどの副作用の恐れがあります。また筋肉が壊れていくのを完全に食い止められません。
国立精神・神経医療センターと日本新薬が、異常が起きている遺伝子に作用してジストロフィンを作り出せるようにする薬の開発を2009年から進めてきました。この結果、ビルテブソが今年3月製造販売の承認を受け、5月に発売されました。
ヂュシェンヌ型は、ジストロフィンの作製に関わる遺伝子の一部が欠け、この部分から先の遺伝情報を読み取れないことが原因で起こります。ビルテプソは遺伝情報の読み取りを補正します。核酸医薬品と呼ばれ、国産では初の新しいタイプの薬です。
同センターによる医師主導治験と日本や米国で実施された企業治験の結果、ビルテブソを投与された患者はジストロフィンが増加していました。重大な副作用は確認されず、米国でも承認申請しています。
この核酸医薬が遺伝子の読み取りを補正するメカニズムなどはよくわかりませんが、欠損している遺伝子部分に相当する核酸なのかもしれません。ビルテブソの治療は、患者が週1回病院で1時間かけて点滴を受ける必要があり、治療は長期にわたります。
また遺伝子の欠損している部分は患者によって異なるため、ビルテブソの対象となるのはヂュシェンヌ型の中でも一部の患者に留まります。同センターと日本新薬は、ヂュシェンヌ型で別の部分の遺伝子欠損に対応する核酸医薬品の開発を進め、第一三共や米国の製薬会社なども開発に取り組んでいます。
同センターは、核酸医薬品は遺伝子の異常を修復する根本治療が確立されるまでのつなぎで、使用間隔を延ばしたり、点滴以外の方法を探ったりして患者の負担を軽減する工夫も進めたいと話しています。
それでも良い治療法がなかった筋ジストロフィーに対して、有効なものが出てきたということは大きな進歩と考えられます。
これまでは症状の進行を穏やかにする対症療法に限られていましたが、新薬は症状の改善につながる効果が期待されています。筋ジストロフィーは、筋肉の破壊と再生に関係する遺伝子に異常があることで生じます。異常のある遺伝子の部分によってさまざまなタイプに分かれています。
代表的なのは、男児のみが発症する「ヂュシェンヌ型」と呼ばれるタイプで、筋肉の細胞の間に存在して枠のように補強する、ジストロフィンというタンパク質を生まれつき作ることができません。
5歳ごろをピークに運動機能が徐々に衰え、10歳前後で歩けなくなり、呼吸機能の低下で人工呼吸器が必要となります。国内の患者数は約4000人と推定されています。
一般的な治療法は、ステロイド薬の服用や関節が固まらないように動かすリハビリなどで進行を遅らせますが、長期の服用は肥満や骨がもろくなるなどの副作用の恐れがあります。また筋肉が壊れていくのを完全に食い止められません。
国立精神・神経医療センターと日本新薬が、異常が起きている遺伝子に作用してジストロフィンを作り出せるようにする薬の開発を2009年から進めてきました。この結果、ビルテブソが今年3月製造販売の承認を受け、5月に発売されました。
ヂュシェンヌ型は、ジストロフィンの作製に関わる遺伝子の一部が欠け、この部分から先の遺伝情報を読み取れないことが原因で起こります。ビルテプソは遺伝情報の読み取りを補正します。核酸医薬品と呼ばれ、国産では初の新しいタイプの薬です。
同センターによる医師主導治験と日本や米国で実施された企業治験の結果、ビルテブソを投与された患者はジストロフィンが増加していました。重大な副作用は確認されず、米国でも承認申請しています。
この核酸医薬が遺伝子の読み取りを補正するメカニズムなどはよくわかりませんが、欠損している遺伝子部分に相当する核酸なのかもしれません。ビルテブソの治療は、患者が週1回病院で1時間かけて点滴を受ける必要があり、治療は長期にわたります。
また遺伝子の欠損している部分は患者によって異なるため、ビルテブソの対象となるのはヂュシェンヌ型の中でも一部の患者に留まります。同センターと日本新薬は、ヂュシェンヌ型で別の部分の遺伝子欠損に対応する核酸医薬品の開発を進め、第一三共や米国の製薬会社なども開発に取り組んでいます。
同センターは、核酸医薬品は遺伝子の異常を修復する根本治療が確立されるまでのつなぎで、使用間隔を延ばしたり、点滴以外の方法を探ったりして患者の負担を軽減する工夫も進めたいと話しています。
それでも良い治療法がなかった筋ジストロフィーに対して、有効なものが出てきたということは大きな進歩と考えられます。
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