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ガン免疫療法の副作用の原因を解明

2022-10-27 10:32:29 | 
ガン治療法のうち大きな比重を占めている化学療法ですが、治療薬は従来の細胞毒性物質から分子標的薬など新しいメカニズムの薬も増えています。

その中に「免疫チェックポイント阻害剤」という分野の薬があり、「オプジーボ」などが注目を集めています。

アメリカ国立衛生研究所(NIH)の研究グループは、この免疫チェックポイント阻害剤による治療の際、腫瘍が急激に大きくなる副作用が起こるのは、ガンの増殖を助ける「制御性T細胞」の働きが原因であると発表しました。

余談ですが私はこのオプジーボのような薬には、懐疑的な印象を持っています。本来ガン細胞は元々患者の細胞が変異したものですが、異常増殖をしており患者の持つ免疫細胞が異物として攻撃してもおかしくないといえます。

しかしガン細胞は表面に「PD-1」というタンパク質が発現しており、免疫細胞がこのタンパク質を認識すると患者の体細胞であるとして攻撃できなくなるのです。そこでこのPD-1と結合して効力をなくしてしまうのが、抗体医薬であるオプジーボということになります。

ここで問題なのが、このPD-1はガン細胞に特異的に発現しているものではなく、正常細胞にも発現しているのです。多分正常細胞はこのPD-1がなくとも、免疫細胞が異物として認識することは少ないのですが、何らかの影響はあるのかもしれません。

もうひとつがオプジーボの異常な薬価と有効率の問題です。発売当初オプジーボは年間で約3000万円以上の薬価となっていました。この薬は抗体医薬ですので、ある程度のコストがかかるのは当然ですが、あまりにも高いということで年間1000万円程度まで下がったようです。

しかもこれだけのコストをかけても、治療有効率が10%程度と報告されています。これではとても良い治療薬とは言えないような気がします。

さてNIHの研究グループによると免疫チェックポイント阻害薬は、長期的に治療効果を得られる患者がいる一方、ガンが急激に大きくなってしまう患者が2割前後いました。

研究グループはマウスの腫瘍内部でガンを攻撃する免疫細胞を減らし、制御性T細胞を活性化させました。そこに免疫チェックポイント阻害薬を投与したところ、結腸癌で約2週間、頭頸部ガンでは約4週間でほぼ2倍の大きさまでガンが拡大しました。

こうした実験結果からガンを拡大する原因は制御性T細胞であると結論付けました。この制御性T細胞を減らすには「光免疫療法」などがあるようですが、あまり効果的な治療法ではない様な気がします。

新しい治療法として注目を集めた免疫チェックポイント阻害剤ですが、実験的な治療法から一般的な治療法にはならない薬剤といえるような気がします。所詮はノーベル賞効果だけだったのかもしれません。


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