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加齢で効きすぎる薬が増加

2021-01-28 10:31:56 | 
高齢になると薬の代謝や排泄が遅くなり、過剰に投与したことになるということはこのブログでも何度か書いています。

この高齢者に効きすぎる薬ということで、ポストセブンが報道していました。ここでは2020年に発表になった東京都健康長寿医療センター研究所などの、高齢者の多剤処方に関する論文を紹介しています。

同研究では都内の後期高齢者(75歳以上)の約109万人のレセプトデータ(診療情報)を分析しています。その結果患者1人あたり平均6.4種類の薬が処方され、全体の64.0%の人が5種類以上服用していることが判明しました。

これは私の想像以上に多い数字で、高齢者医療の負担が年々増加するのも無理はないという数字でした。私の同年代の友人たちも、糖尿病や高血圧が当たり前のように増えていますがどの程度薬を服用しているのかは聞いていませんが、多分5種類程度にはなっているのかもしれません。

この研究では多剤処方の5つの典型的なパターンとリスクを示しています。また多剤処方だけでなく前述の「加齢リスク」も考慮する必要を指摘しています。

薬は胃や腸で吸収された後に肝臓で分解され、腎臓や消化管から尿や便として排出されます。加齢で肝臓や腎臓の機能が落ちると、分解や排泄に時間がかかるため体内残存時間が延び、薬が効きすぎて不調が生じることがあるとしています。

日本老年医学会の「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」には、高齢者に対して特に慎重な投与を要する薬物として29種類の医薬品が掲載されています。その詳細については省略しいくつかを例示するにとどめます。

このようなガイドラインがあるにもかかわらず、多くのクリニックでは若中年と区別せずに、高齢者にも薬を処方しているのが問題のような気がします。この中には多剤処方の5つのパターンに登場する薬が多く含まれています。

東京都の分析で最多の割合を占めた「高血圧治療薬」のなかでは、ループ利尿剤のリスクが指摘されています。

尿を増やして体内の塩分を排出して血圧を下げる仕組みで、比較的運動量が多く代謝も活発な中年世代までには有効ですが、歳をとるにつれて効きすぎてしまうことがあります。それまで服用していた人は、75歳を目安に別の降圧剤への変更を主治医に相談した方が良いようです。

「糖尿病治療薬」ではインスリン分促進系のスルホニル尿素薬にリスクが潜み、非ステロイド性抗炎症薬や睡眠薬のベンゾジアゼピン系も基準より減薬の検討が求められるとしています。

私はこのブログでも「老人科」の必要性を主張してきましたが、多くの医師がこういった点を全く考慮せず処方していることが大きな問題だと思っています。


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