先日久しぶりにある天然有機化合物の全合成の文献を読みました。これは日本語に翻訳されたものですが、簡単に入手できる化合物から十数工程で生理活性のある天然有機化合物(カビの生産物)を全合成したというものでした。
これを読んで私の専門である有機化学の実験を思い出しましたので、実際にはどんなことをしているのかを紹介してみます。
私たちが実際に反応させる場合は、80%以上がまだ誰もやったことがない反応になりますので、やり方のレシピは存在していません。従って多くのことを自分で設定する必要があります。
例えばA+B→C+(D)という反応の場合、Cが目的物になりますが、多くはDも生成してしまいます。このDは一般には水や塩といったCとは全く違った性質のものですので、通常はあまり考える必要はありません。
基本的にはAとBを何かに溶かしてかき混ぜればよいということになりますが、実際はそれほど簡単ではありません。
かき混ぜるという点を取っても、通常はマグネチックスターラーという器具で、容器の外から強い磁石を回転させ、容器内に磁石(回転子といいます)を入れ一緒に回転させるというのが一般的ですが、例えば反応が非常に粘度が高い場合などは、モーターを付けたプロペラを入れて回転させることもあります。
そこで最初にどんな容器で反応させるかを決定する必要があります。反応容器は基本的にフラスコですが、その口はひとつのものから4つ口、上下が分かれるようなセパラブルフラスコといったものまであります。
この反応で何が必要かというと、例えば容器内の温度を測る場合は温度計や熱電対を入れる必要があります。また加熱が必要な場合は溶媒が飛んでしまうため、冷却して反応容器に戻す必要があり、冷却管を付けなければいけません。
またAとBを混ぜるといっても、最初から両方を入れておく場合とAだけ容器に入れ、Bを少量ずつ加える方が良いケースもあり、この場合は滴下ロートを付ける必要があります。
この反応が空気中の微量の水分や酸素を嫌う場合は、不活性ガスであるアルゴンや窒素を導入する管を付ける必要も出てきます。このように温度計、冷却管、滴下ロート、ガス導入管を付けると、4つ口が一杯になってしまうわけです。
多くの反応は温度計と冷却管程度の2口で済むことが多くなっています。テレビドラマなどで化学実験室では、この4つ口にフル装備した装置が出てきますが、よく見るとおかしな装置になっていることが多いのですが、こういったものが化学実験のイメージになっているのかもしれません。
容器の選定で終わってしまいましたので、次回に続きます。
これを読んで私の専門である有機化学の実験を思い出しましたので、実際にはどんなことをしているのかを紹介してみます。
私たちが実際に反応させる場合は、80%以上がまだ誰もやったことがない反応になりますので、やり方のレシピは存在していません。従って多くのことを自分で設定する必要があります。
例えばA+B→C+(D)という反応の場合、Cが目的物になりますが、多くはDも生成してしまいます。このDは一般には水や塩といったCとは全く違った性質のものですので、通常はあまり考える必要はありません。
基本的にはAとBを何かに溶かしてかき混ぜればよいということになりますが、実際はそれほど簡単ではありません。
かき混ぜるという点を取っても、通常はマグネチックスターラーという器具で、容器の外から強い磁石を回転させ、容器内に磁石(回転子といいます)を入れ一緒に回転させるというのが一般的ですが、例えば反応が非常に粘度が高い場合などは、モーターを付けたプロペラを入れて回転させることもあります。
そこで最初にどんな容器で反応させるかを決定する必要があります。反応容器は基本的にフラスコですが、その口はひとつのものから4つ口、上下が分かれるようなセパラブルフラスコといったものまであります。
この反応で何が必要かというと、例えば容器内の温度を測る場合は温度計や熱電対を入れる必要があります。また加熱が必要な場合は溶媒が飛んでしまうため、冷却して反応容器に戻す必要があり、冷却管を付けなければいけません。
またAとBを混ぜるといっても、最初から両方を入れておく場合とAだけ容器に入れ、Bを少量ずつ加える方が良いケースもあり、この場合は滴下ロートを付ける必要があります。
この反応が空気中の微量の水分や酸素を嫌う場合は、不活性ガスであるアルゴンや窒素を導入する管を付ける必要も出てきます。このように温度計、冷却管、滴下ロート、ガス導入管を付けると、4つ口が一杯になってしまうわけです。
多くの反応は温度計と冷却管程度の2口で済むことが多くなっています。テレビドラマなどで化学実験室では、この4つ口にフル装備した装置が出てきますが、よく見るとおかしな装置になっていることが多いのですが、こういったものが化学実験のイメージになっているのかもしれません。
容器の選定で終わってしまいましたので、次回に続きます。
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