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科学は男性的か女性的か

2020-12-28 10:42:23 | その他
科学の分野は年々細分化が進んでいますが、東京大学が科学のイメージについて男性的か女性的に感じるかのアンケートを実施した結果が「朝日新聞」に掲載されました。

研究グループは昨年6月、物理、化学、機械工学、情報科学、生物など6分野について、20~60代の男女791人にオンラインでアンケートを実施しました。

男性的な印象が強い場合は5、女性的な印象が強い場合は1として5段階で選んでもらったところ、6分野すべてで平均が3を上回り、男性的な印象を持っていることが分かりました。男性的な印象が最も強かったのは機械工学で3.88で、最も低い生物でも3.13と中央値の3を超えていました。

また物理で「電磁場」や「相対性理論」、機械工学で「ものづくり」「ロケット」など、分野ごとにキーワードを79個を選んで印象を尋ねたところ、生物の「生命」などを除く74個が3を超え男性的な印象でした。

こうした印象は男性より女性の方が強く持つ傾向がありました。この結果から科学の分野に進む女性が少ないのは、イメージが障壁のひとつになっているとしていますが、私はあまり賛同できません。

女性研究者はある程度いるものの、女性の大学教官は圧倒的に少なくなっています。これは日本の研究環境が悪いというより、科学研究の持つ基本的な問題のような気がします。

大学の教員は教育者である前に、研究者でなければいけません。どんなに優れた教育者であっても、良い研究成果を出さなければ評価されません。どんなに独創的な研究であっても、世界中で誰もやっていないということはまずありません。

つまり研究というのは競争であり、時間との戦いでもあるわけです。これはどんな分野でも同じだと思いますが、私のやっていた薬化学では本当に厳しく、良い効果のある化合物を作っても、他社が類似の化合物を出してしまったら開発することはできないのです。

そのためどうしても長時間労働となってしまいます。どんなに優れた研究者でも、8時間の実験では12時間やっている人に負けてしまうというのが科学研究といえるような気がします。

私は企業研究所ですのでそれほど酷くはなかったのですが、知人の大学の研究室などは、9時10時は当たり前で日付が変わるまで実験をしていたようです。このような状況で女性が男性と同じようにするのはかなり難しいような気がします。

科学の進展は非常に速いので、例えば妊娠や出産などで半年も現場から離れてしまうと、それを取り戻すには非常に努力が必要となります。

こういった研究自身が持つ難しさが、女性の活躍を阻んでいるような気がします。研究環境が劣悪であることも確かですので、この辺りの整備が必要なことはもちろんです。


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