SIDEWALK TALK

We were just looking for America

Nighthawks『Nighthawks』
シルヴェスター・スタローン主演の1981年の作品。
このころの、つまり『ランボー』以前のスタローンは、
『ロッキー』シリーズ以外は
興行的に成功することがほとんどない状態だった。
いわば苦闘時代だったといえる。


当時、僕は高校生で、
リアルタイムではこの映画の存在すら知らなかった。
オッサンになってから観ることになるのだけど、
何の変哲もないプロットにもかかわらず、
そこはかとないシンパシーを感じた。
ティーンエイジャーのころ、僕は闇雲に米国を信奉していたからだ。


10代の多感なころ、
J.D.サリンジャーの小説を読みふけったり、
映画『ロッキー』シリーズを残らず観たり、
ジャック・ケルアックのペーパーバックを持ち歩いたり、
マックやKFCのジャンクフードに舌鼓を打ったり、
ブルース・スプリングスティーンのR&Rを聴いたりして過ごしていた。
アメリカの放つ光を、何の疑問ももたずに無邪気に信じていた。


この作品のスタローンのファッションや髪型は当時お気に入りだった
ビリー・ジョエルやスティーヴ・ヴァン・ザントのようであり、
NYの街並みは『52nd Street』や『Glass Houses』の世界観を彷彿とさせる。
10代の僕が好きだったアメリカそのものだ。
僕の若い時期のメンタリティと確実に呼応して、
心のどこかが動かされた。


最近の映画は、猥雑な作品が多いように思う。
また多弁でもある。
その点、このころのハリウッド作品はシンプルでわかりやすい。
オープニングとエンディングがスタローンの女装という、
笑えないジョークも何とも愛おしかった。
あのころ探し求めていたアメリカを見つけたような気がして、
僕は頬杖をつきながら眼を細めた。

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「コスメ・ファッション」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
2024年
2023年
人気記事