内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

無事帰国

2013-08-20 08:00:00 | 雑感

 先ほど無事パリの自宅に帰り着きました。日本で連日の酷暑(いつまで続くの?)にうんざりしている皆さんには大変申し訳ございませんが、一応今日のパリの天気について一言ご報告させていただきます(誰も聞いとらん)。シャルル・ド・ゴール空港到着時の午前3時35分の外気は13度、現在午前8時パリ市内で14度。今、1月半閉めきってあった部屋の空気を入れ替えるため、窓を開けたままこの記事を書いていますが、半袖だと寒いくらいです(嫌味ですね)。日中の予想最高気温26度、快晴、湿度も日中は50%を下回るでしょう(なんでここだけ天気予報士みたいなんでしょう?)。一言で申しますと、快適そのものです(もう、ええ)。
 帰路は概ね順調だった。北回り航路。ロシアを数時間掛けて横断した(シベリア上空を通過するたびごとに、眼下のどこまでも広がる荒涼たる風景を見ては、ここでだけは墜落しないでほしいと切に願う。今回は真っ暗で何も見えませんでしたが)後、北欧3国南部をかすめるようにして、デンマークから南下、ドイツ北西上空通過してフランス上空に入る。
 そこからずっと、眼下の夜景を眺めていた。光の集まっているところが街であることはすぐにわかるが、その光の集積度で街の規模と形態がすぐにわかり、その街から放射状に伸びている道路の明るさが、その道路の交通路としての重要度に対応している。それは、一国の産業の発達度を光の量と広がりよって一目瞭然たらしめる光景で、産業国を1個の身体にたとえるならば、あたかもその血管網を透視しているかのようだ。私はこの光景を何度見ても飽きることがなく、だからいつも窓際の席を予約する。
 着陸後も順調そのもの。おそらく今日の最初の到着便だからだろう(そりゃそうですよね、午前4時前着ですもの)、いつもは待たされるパスポート検査場を待ち時間ゼロで通過(検査官もにこやか)。荷物も10分足らずで出てきた(やればできるんですね、フランスでも。朝早くからお疲れ様)。お陰様で、4時53分発のRERの始発に余裕をもって乗ることができた。
 このRERのB線が始発駅の空港を出てからパリ市内に入るまでに通過するのはパリの北の郊外で、この地区はきわめて治安が悪く、低所得者層・移民(両者は社会階層としてかなりの部分重なるが、まったく一致しているわけではない)が数多く住む。彼らは人のやりたがらない仕事を生業としていることが多く、朝はとても早い。蓄積した疲労で眠そうな顔を車両の窓にもたせかけ、微睡んでいるか、暗い目をして遠くを見つめていることが多い(彼らに向かって「未来に希望を持て」などと、偽善なしに言うことが誰にどうしてできようか。オランドさん、なんとかしてよ)。車両の中のアジア人種は私一人、大半は黒人とアラブ人、白人は片手で十分数えられる。そのうち4人は旅行者あるいは帰国者、つまりその地区の住人ではない。
 ダンフェール・ロシュロー駅下車。後はアパルトマンまでいつものように徒歩。この駅から帰国後に荷物を持って徒歩で帰宅するのもこれで10数回目になるが、不思議と今まで1度も雨に降られたことがない。重いスーツケース2つ(本ってどうしてこう重いのでしょうか)を引きずり、よろめきながら自宅到着。やれやれ。鍵を開けて部屋に入って、すぐに面白くない発見。大家さんに私の1月半の留守の間に窓のペンキ塗り直しをやっておいてくれるように6月に頼んだのに、やってない。鍵まで渡しておいたのに。早速あとで連絡取らないと。まあ、こんなもんである。こういうことにいちいち小腹を立て(こんな表現ありましたっけ? ないかもしれないけど、ちょうどこんな感じなんです)ながらも、他方では 一言、"C’est pas grave." (この一言、フランス生活の初日から日常的に必要になりますよ。これ言わずにフランスでは生きていけません。保証します)とつぶやき、荷物をさっさと片付け、 かくして、私のこの夏の「美しき」ヴァカンスは終わりを告げたのであった。さあ、"Au travail !"