昨日午後の和田博文先生の講演を締め括りとして、三日間に渡る国際シンポジウム「モダン再考 戦間期日本の都市・身体・ジェンダー」は無事幕を閉じた。私は今回一発表者として参加したに過ぎないが、全体として内容豊かな発表が多く、それらをめぐって刺激に富んだ議論が活発に行われたいいシンポジウムだったと思う。私個人としても学ぶところは多かった。特に、「モダンガール」たちの一部に見られた自由な生き方と自立の手段の確保と官憲への抵抗姿勢にはちょっと驚きもし、感心もした。
私自身の発表に対してもわりと反応はよかったと思う。その内容のおおよそは連載「戦中日本におけるもう一つ近代の超克の試み」に述べてあるからここには繰り返さない。
今回のシンポジウムの内容は、後日フランス語で論文集として出版されることが決まっている。CEEJAからストラスブールへの帰り道、シンポジウム責任者である同僚の車に乗せてもらったのであるが、車中での彼女の話では、今回の出版は、単なる発表原稿の集成ではなく、各発表者が発表で言い足りなかったことも含めて自由に書いてもらうために、最高字数制限ではなく、最低字数制限だけを設けるつもりだという。これはめったにない「太っ腹な」提案である。この機会を利して、私も発表原稿を全面的に見直して、より発展した形で活字として発表したいと思う。
今日、フランスは朝から全国的に好天に恵まれてれている。アルザス地方の空気はまだ少しひんやりしているけれど、それがかえって気持ちいい。午前十一時には自宅に帰り着いた。
今日から夏時間。時計を一時間早めるから、今日だけ一時間短い。十月最後の日曜日、冬時間に切り替わるときに「貸与」された一時間を、こうして毎年三月最後の日曜日に「返還」する。それはちょっと辛いけれど、昨日に比べて日没が一時間遅くなり、それだけ日没前の午後の時間が長い。今日は午後八時過ぎまで明るだろう。心の中にまで陽が射し込む思いがする。