二胡工房 光舜堂

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福音弓の解説!

2014-08-13 12:43:55 | ■工房便り 総合 
この福音弓は、基本的にヴァイオリンの弓の重さのバランスを取り入れた物です。

ですから少しの力で自然に弓の先端まで、綺麗にどなたでも音を出せます。

ヴァイオリンの弓の重さは通常、60グラムから64グラムぐらいです。

二胡の弓より重いのですが、何となく皆さん二胡の弓の方が重いように思っていらっしゃる方も多いです。

それは、二胡の弓はバランスをとっていない為先端が弾きにくく、余分な力が入ってしまうために重く感じるのです。

福音弓は基本的な重さは、45グラムくらいから50グラム前後です。けっして軽い方の弓ではありませんが弓を弾いてみると、たいへん軽く感じ、余分な力を入れずに済むので、軽く感じるのです。

小さく弾けば小さいなりにきちっとした音になります。

大きく弾くとそれこそ、今まで出せなかったほどの大きな音がします。

音の頭が出しやすく、キレの良い音も作りやすいです。

ロングトーンも、今まで以上に長く弾け、手元の弾き易さもだいぶ楽になります。

一弓で弾く音色が、手元から先端まで変わりません。

あくまでも、ヴァイオリン用の毛を使い、ヴァイオリンの弓の重さのバランス、を取り入れた物です。

ですから、一本一本の竹の違いを考慮し、その硬さと、弾力に合わせて毛の量と、先端の重みを調整してあります。

そして竹の部分や、弓魚(ヴァイオリンのフロッグ)のがたつきや、割れやすい部分なども修正してあります。

しかし、ヴァイオリンの弓でも折れる事はありますし、この竹も経年変化で硬くはなっていきます。

普通に使えば3年くらいは持つはずです。

竹の弾力は、加熱と、ガラス塗料を浸透させる事で、調整してありあります。今までの弓の竹の弾力の違いの差を少しは平均化しています。

毛の長さは64㎝これはヴァイオリンと同じです。

使用する馬毛は、モンゴル産のヴァイオリン専用の毛です。(これを西風と名づけました)

この西風の特徴は、大変弾力のある毛で、一本一本を引っ張ると20ミリくらいも伸びるのです、その伸びる力が、弦を強く引っかけるのだと考えています。

力の弱い女性、そして初心者の方には楽に弾ける弓となりますし、上級者の方々には、様々なテクニックを実現しやすい弓となります。

東風は、今までの二胡の毛を脱色しないで使っている物です、脱色すると、毛は弱り切れやすくなります。(髪の毛と一緒です)

脱色していませんので、今までの二胡の毛以上には強いですし、弦に対する引っ掛かりも良いですが、毛自体にばらつきが多く音色に斑が出来ます。

ですから、今までの二胡の弓のような音色です。

比較的音色は今までの二胡弓と変わりませんが、弾き易さは、バランスをとった福音弓の特徴が良く出ます。

そして脱色してありませんので、毛の耐久力は今までの倍以上は持ちます。

西風、東風とも、今までの毛のようにはいたまず大体日々1時間ぐらい弾く人なら、3、4年間ぐらいは持ちますから、

今までの二胡の弓より経済的です。(今までの二胡弓は毎日一時間弾けば、半年は持ちませんでしたから)

その上、この福音弓は、毛がダメになっても、張替が可能です.

費用は9000円となります。(福音弓以外の張替は10000円です)

製作は一日に1本くらいきり出来ませんので、予約後一月ぐらいはお待ちいただくようになります。


<2018年1月追記:この記事の価格は当時の物で、現在は材料高騰の為変更しております。詳細はメールにてお問合せ下さい>
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3 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
慣性モーメントについて (xunfenghua)
2014-08-19 20:22:25
バランスは重心だけの問題ではありません。同じ重心・重さでも重量が重心から離れて分布していると回転に対するモーメントが大きくなるので小回りがきかなくなります。例えば長弓は快適なのに快速換弓を含む快弓が難しくなる可能性があります。
ヴァイオリンの弓ではカーボン弓があります。フェルナンブーコが減っているためです。カーボンは軽いので、標準的な重さにするために先端の毛を固定する部品(チップ)をゴールドにするなど工夫しているものもありますが、重心・重量を同じにしても重量の分布は従来の弓とは異なりますので演奏のフィーリングは違うと思われます。プロで使用されておられる方は少ないです。
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追伸 (xunfenghua)
2014-08-19 20:28:28
カーボン弓を使用しておられるプロが少ないのは、その性能のためではなく、従来の演奏法・指導法になじまないという点が大きいからと思います。
否定的な意見を誤解されませぬよう追記させていただきます。
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xunfenghuaさん (nisino)
2014-08-19 21:47:40
ご高説ありがとうございます。
私はそれほどの卓見を持っているわけではなく、自分で弾き易い状態を作り出しただけです。そして何人かのプロの方の意見も取り入れて、今までの二胡の弓の商品としての不安定さと言うのを少しでもなくし、より弾き易い二胡弓と言うのを作り出したつもりです。もちろん初心者の方々や、中級、そしてプロの方、色々な弾き方がありますが、万全とは言わないでも大方の二胡愛好家に、より安定した弓と言うのを使ってほしいのです。このブログに書きこまれるという事はあなた様も二胡を弾かれているのかと思います。一度試してみてください。今までの弾きにくい弓よりは相当に良いとわたしは思っています。あなた様が弾いてみたうえでこんなものと言うことであれば、あなた様がその卓見でと理論でもっと良い物を作ってくれることを望みます。私はまずはとっかかりだと考えています。今までの弾きにくい二胡より弾き易く作ったり、、ウルフ音がなぜ出るのかとか、なぜこの雑音が等、理論ではなく自分で試してみて作り上げてきた楽器や、弓です。いままでの二胡の業界ではただ当たり前としていたものを少しでもよく鳴るようにまずは初めてみたのです。、貴方様のようにきっちりとした理論や卓見のお持ちの方が参加して二胡つくりを始めればより良い二胡が出来上がるのではないでしょうか。もちろん弓もです。今までは自然状態そのままの竹をを何の工夫も無く、せいぜい塗装程度で材の強化をしていたのですから、私が始めた安定した性質を持つ、弓の開発と言うのは、まだまだその端緒についたばかりと言えるのではないでしょうか。
一つ言わせてもらえば、タカギクラヴィーアの高木さんの本を読んでいて、なるほどと言う文章にぶつかりました。高木さんが若いころスタンウェイの会社に修行に行き、ピアノを調整する先輩たちに、いろいろ理論的な事を教わろうとしたのだそうです。数値をあげてここは何グラムとか、そしたら、その先輩の職人さん達は、おれっちはそんな数値など測ったことは無い、すべて経験だと、たくさんピアノを触ってきた結果だと言われたそうです。私もその経験派です。理論が悪いとは言いませんそれも後からなら必要な事です。しかし何かを作り出すためには、たくさんの楽器を触ってみたりすると言うのは大きいと思います。
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