ザ・コミュニスト

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日本共産党の成功的失敗

2012-07-15 | 時評

一般社会ではほとんど関心事とはなるまいが、今日は日本共産党の結党90周年記念日である。共産党批評は本来、結党100周年で書いたほうがよさそうだが、共産党はあと10年持つにしても、当ブログの10年後は保証されていないため、予めここで書き遺しておきたい。

戦前治安維持法下の非合法時代から90年の命脈を保つ日本共産党は、同種政党では世界で最も成功を収めた党である。その秘訣は、ソ連邦解体前の早期に革命政党から議会政党へ転向したことにある。議会制―及びその下部構造としての資本主義経済―への順応という党略では、旧イタリア共産党に代表されるユーロ・コミュニズム路線とも重なる。

だが、イタリア共産党はすでに中道政党・民主党に吸収され、消滅しているのに対し、依然独自の議会政党として中央・地方に根を張っている日本共産党は、ある意味で旧ユーロ・コミュニズムを超えている。 

だが、そうした輝かしい成功と同時に、同党は革命的共産主義政党としては既に失敗している。もはや日本共産党に共産主義的なところは何もない。2004年の最新綱領でも「社会主義・共産主義の社会をめざして」と題して最後に付け足し的に―それも社会主義と共産主義があいまいな連語にくくられて―共産主義社会の建設が謳われてはいるが、それは具体性を持たないいつとも知れぬ遠い未来のぼやけた願望にすぎない。

現存日本共産党は実質上、資本主義とも共存する社会民主主義の路線内にある。その点では、旧社会党系の社会民主党と競合するが、現存日本共産党は現存社民党よりはるかに成功した「社民党」である。

辛辣にたとえれば、日本共産党は「歌を忘れたカナリア」である。よく言えば、「他人の歌を歌うようになったカナリア」であろうか。いずれにせよ、現存日本共産党は真のコミュニストにとってはもはや魅力に欠ける既成政党群の一つにすぎない。

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