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旧ソ連憲法評注(連載第31回)

2014-12-27 | 〆ソヴィエト憲法評注

第十九章 国家権力および行政の地方諸機関

 本章は、構成共和国・自治共和国より下位の地方主体の行政機構について定めている。

第百四十五条

地方、自治州、自治管区、地区、市、市内の地区、町および農村居住地における国家権力機関は、それぞれの人民代議員ソヴィエトである

 下位の地方主体にも、ソヴィエト機関が設置された。これら地方ソヴィエトは地方議会のような自治体機関ではなく、言わばソヴィエトの地方出先機関であった。以下、第百四十八条までは、地方ソヴィエトの権限に関する規定が続くが、個別の評注は割愛する。

第百四十六条

1 地方人民代議員ソヴィエトは、全国家的利益およびそのソヴィエトの地域に住む市民の利益にもとづき、地方的意義をもつすべての問題を解決し、上級の国家機関の決定を実施し、下級の人民代議員ソヴィエトの活動を指導し、共和国的および連邦的な意義をもつ問題の討議に参加し、それらについて提案をする。

2 地方人民代議員ソヴィエトは、その地域において国家建設、経済建設、社会的、文化的建設を指導し、経済的、社会的発展計画および地方予算を承認し、自分に属する国家機関、企業、施設および団体を指導し、法律の遵守ならびに国家的秩序、公共の秩序および市民の権利の保護を保障し、国の防衛力の強化を助ける。

第百四十七条

地方人民代議員ソヴィエトは、その権限の範囲内で、その地域の総合的な経済的および社会的発展を保障し、その地域にある上級所属の企業、施設および団体による法令の遵守を監督し、これらによる土地利用、自然保護、建設、労働力の利用、日用品の生産ならびに住民にたいする社会的、文化的および日常生活上その他のサービスの分野における活動を調整し、監督する。

第百四十八条

地方人民代議員ソヴィエトは、ソヴィエト連邦、連邦構成共和国および自治共和国の法令によりあたえられた権限の範囲内で、決定を採択する。地方ソヴィエトの地域にあるすべての企業、施設および団体ならびに公務員および市民は、地方ソヴィエトの決定を執行しなければならない。

第百四十九条

1 地方人民代議員ソヴィエトの執行処分機関は、ソヴィエトがその代議員のなかから選挙する執行委員会である。

2 執行委員会は、一年に一回以上、自分を選挙したソヴィエトにたいして、ならびに労働集団の集会および居住地ごとの市民集会において、報告を行なう。

 地方ソヴィエト執行委員会は連邦や共和国レベルの大臣会議に相当する機関である。知事や市町村長が存在しない代わりに、合議体としての執行委員会が地方行政を担っていた。執行委員会は、次条のように、地方ソヴィエトと上級の大臣会議の両方に属した。

第百五十条

地方人民代議員ソヴィエト執行委員会は、自分を選挙したソヴィエトおよび上級執行処分機関の両者にたいして、直接に報告義務をもつ。

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