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旧ソ連憲法評注(連載第29回)

2014-12-12 | 〆ソヴィエト憲法評注

第百三十三条

ソ連大臣会議は、ソ連の法律ならびにソ連最高会議およびその幹部会のその他の決定にもとづき、またはこれらを執行するために決定および処分を公布し、その執行を点検する。ソ連大臣会議の決定および処分は、ソ連の全領土において執行されなければならない。

 ソ連大臣会議は、内閣の政令に相当する決定や処分を出す権限を与えられていた。

第百三十四条

ソ連大臣会議は、ソヴィエト連邦の管轄に属する問題について、連邦構成共和国大臣会議の決定および処分の執行を停止し、ならびにソ連の省、ソ連の国家委員会および自分に属する他の機関の法令を取消す権利をもつ。

 ソ連大臣会議は全行政組織の頂点にあったため、下位の機関の決定や法令等を取り消す権限をも与えられていた。

第百三十五条

1 ソ連大臣会議は、全連邦的および連邦的・共和国的なソ連の省、国家委員会および自分の管轄に属する他の機関の活動を統合し、指揮する。

2 全連邦的なソ連の省および国家委員会は、ソ連の全領土において、直接にまたはその設置する機関をとおして、自分にゆだねられた管理部門を指導し、または部門間の管理を行なう。

3 連邦的・共和国的なソ連の省および国家委員会は、原則として連邦構成共和国の対応する省、国家委員会およびその他の機関をとおして、自分にゆだねられた管理部門を指導し、または部門間の管理を行ない、連邦に属する個々の企業および企業統合体を直接に管理する。共和国または地方に属する企業または企業統合体の連邦への移管手続きは、ソ連最高会議幹部会が定める。

4 ソ連の省および国家委員会は、自分にゆだねられた管理の領域の状態と発展について責任をおい、その権限の範囲内で、ソ連の法律、ソ連最高会議およびその幹部会のその他の決定ならびにソ連大臣会議の決定および処分にもとづき、またはそれらの執行のために法令を公布し、その執行を組織し、点検する。

 ソ連大臣会議の下に設置される国家行政組織に関する規定である。部門別の省と国家委員会という構制は諸国の行政組織と大差はなく、縦割りのセクショナリズムの土壌となったであろう。そのうえ、共和国連邦という二重構制のため、全連邦的行政機関のほかに、連邦的・共和国的な行政機関も存在し、横割りのリージョナリズムの危険もあった。

第百三十六条

ソ連大臣会議およびその幹部会の権限、それらの活動手続き、大臣会議とその他の国家機関との関係ならびに全連邦的および連邦的・共和国的なソ連の省および国家委員会の名簿は、憲法にもとづき、ソ連大臣会議法が定める。

 ソ連大臣会議法は大臣会議の権限等やその下にある行政機関の組織に関して定める法律であり、日本の内閣法にほぼ相当するものと見てよいであろう。

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