気候も少しずつ暖かくなってきたので、アンプを高発熱の6C33C-BからKT88 PPに入れ替えます。
そこで、以前から気になっていたKT88PPアンプのカップリング・コンデンサ。
耐圧の関係でBlack Beauty0.1uF/400VからClarityCap製ポリプロピレン0.22uF/630Vに交換して使っていましたが、
・音質的に特徴がなく面白くない
・0.22uFでは容量が大きのか低音がブーミー気味
が不満点として在りました。
なんとか、ブラック・ビューティの様な音が出るコンデンサは無いものか?と再選定を行いました。
その前にまず該当箇所の印加電圧チェックを行います。
今回は、高圧プローブがあるので過渡時の電圧チェックも出来ます。
電源ON時:ピークで556Vに達します。定常時は400Vくらい。
電源オフ時:素直に下降します。
やはり耐圧600V以上のコンデンサが必要な様です。
容量はスタッガリングを考慮して0.1uF~0.05uFとします。
条件的に選択肢は結構限定されてしまいます。
今回2種類のコンデンサを選定し購入しました。プッシュプル両チャンネル分で各4個必要です。
・GUDEMAN ハーメチックタイプのオイルコン 0.068uF/600V 軍事用MIL規格品
・Cornell Dubilier(CDE) ポリエステル・フィルム 0.068uF/600V
まず、期待を膨らませGUDEMANを付けてみました。これです↓。見た目もGood!
アンプに実装したところ。リードは安全のためテフロンチューブに通しています。
GUDEMANのオイルペーパーコンはあまり有名でないのか、ネット上で音質評価を殆ど見かけませんが、
出音の第一印象は、かなりダンプが効いた音です。なんて表現したらよいのか? コンプ効かせてダンプした様な?低音。言葉で言い現わすのは難しいです。独特な音です。音像はスピーカーと同じ面か少し後ろになりました。
低域は粘りが有り鈍く(溜めがある感じ)、中域は張り出しが足りない様な、高域は良く出ていますが耳に突き刺さりません。
これはこれで悪くはありませんが、いつもの様にエージングが必要です。過去の経験から特にオイルコンはエージングに時間が掛かることはわかっています。
使用開始から10時間くらいまでは、音が抜けなく(詰まった感じ)で聴いていて疲れます。極端に言えば、襖一枚隔てて聴いている感じです。
今迄とは違う音の感覚に耳を澄まして集中して聴いていたので、交換後2日間は肩が凝りました。
3日目にして(延べ約30時間稼働)、少しづつオイルが馴染んできたのでしょう。漸く音も抜けてきて良い塩梅になってきました。オイルコンの音です。VitaminQと言うよりはWestCapに近い感じと思います。
コンデンサ容量も、0.22uF→0.068uFにして正解でした。低音が締まり低音楽器の音像が明瞭に出る様になりました。しかし、今は低音のスピード感が足りません。もたついていて弾けません。中域の張り出しもありません。
40時間後、中域、高域はすこしづつ前に出てくるようになり、ギターの弦の音が艶っぽくなりましたが、低域が相変わらずダンプが効いてゴツゴツした感じです。貯め込んで一気に出す感じです。高音も少しザラついて歪っぽいです。
聴き込むにつれ、あまり自然な音とは言えません。何処となくまだ不自然な音質です。
エージングで良くなるのか?
流石に50年以上いや60年以上?も放置されたコンデンサなので覚醒するのに時間が掛かると思います。
覚醒後の音を楽しみに気長に待ちます。1週間くらいでは駄目かも知れません。
素質は有る様に感じるので、ゆっくりと成長を見守ることします。
エージングの間は、音楽ではなく、先日WOWOWで放映された「ランボー」1から4の録画をレンダリングで見てました。
50時間後、堅かった低音も徐々に解けてきました。しかし、低域の特定周波数帯が、まだゴツゴツした感じが残っています。低音が抜けきっていません。もう一息ってところです。バスドラとベースの低い音がゴツン、ゴツンっと鳴っています。高域のザラツキは少し治まってきたようです。でも、まだ楽しめる音、聴いていて心地よい音にはなっていません。
オイルペーパーコンデンサは、長期間(それがどの位かはわからないが)休ませると、オイルがフィルムに固着してしまい、音質も固くなり、それをまた馴染ませるのにそれなりの時間を要する様に思います。Westcapの時もそうでした。
60時間後、やっと低音が「ドスン!、ドスン!」と鳴る様になりました。音も瑞々しくなって来ました。どこまで成長するのでしょう。どこで飽和するのでしょうか。やっと、ベースラインが聴きとれる様になりました。
先日交換したCDP B226のOP ampも馴染んで来て調子が出てきました。全周波数帯に渡ってフラットに音が出てくるようになりました。
約100時間後、やっと落ち着いて来たようです。音が素直に前に出てきて伸びる様になってきました。以前よりも音数も多く密度があり空気感も良く、音の余韻も多い様な気がします。低域も豊かに響き渡る様になりました。低音の量感は半端ないです。
期待を裏切りませんでした。暫くこの状態で聴き、飽きて来た頃にコーネルのPMに交換してみたいと思います。1か月以上先になると思います。
このコーネルのPM(緑)はネット上では鈴虫が居る?鈴鳴りがして心地良いとありますが、どんな音なのでしょうね。楽しみとして残しておきます。
春がそこまで近づいています。
6C33C-Bは予備管も入手出来ましたので次の冬シーズンまでお休み頂き、ここからはこのKT88PPに頑張って頂こうと思います。
初段:12SL7 (TUNG-SOL Black Glass/Round Plate)
ドライブ:6SN7 (TUNG-SOL Black Glass/Round Plate)
出力管:6550C (Svetlana Winged C)
OPT:Softon
今日もJAZZ vocal のCDを1枚紹介します。名盤なので皆さんご存知でしょう。
「Blue Burton / Ann Burton」 BSCD2盤
全編落ち着いてゆったりとしたバラードで、この時期にピッタリです。寝落ちそうです。
バンドは、ベース、ドラム、ピアノ、サックスと言ったシンプルな構成です。
1967年に録音されたとは思えないくらい音質も良く好録音なので、オーディオ的聴きどころがあります。
私的には、2曲目キャロル・キングの「Go Away Little Boy」です。
左チャンネルからのウッド・ベースの音、右チャンネルからのピアノ、ドラムのブラシ音、シンバル音のリアル感。
3曲目ではサックスが入りますが、この音の枯れ具合が好きです。
Youtube動画を貼り付けてみました。気になったら聴いてみてください。
Ann Burton & The Louis van Dyke Trio - Blue Burton ( Full Album )