4年前に修理して取り敢えず動作する様になったカセットデッキ。
そしてその2年後にアジマス調整もしましたが、その音質は今ひとつでした。
当時の修理の様子は、ここに書いています。
あれから2年、今年の計画に書いた様に再度リペアする事にしました。
再修理後の音質については、最後に詳しく書きますが『カセットデッキって、こんなに良い音だったの?!』って驚きです。
私の持っているカセット・デッキは『ティアック製V-5010』です。1993年製。メイド・イン・ジャパン!。中級機ですかね。(写真は今回のリアレンジ終了後のものです)
しかし、ヘッドには高純度PCOCC巻線コバルトアモルファスが使用されているので、潜在能力が有るはず。
もっと良い音が引き出せるのではと可能性を信じて挑戦しました。信じるものは救われる?
余談ですが、ナカミチのN482も持っていたのですが、これはリールが動かなかったので4年前に産廃として捨ててしまいました。 今思えば、ベルト交換だけで復活していたと思うのに、残念⤵。悔やまれます。
さて、このティアック製V-5010の今回の修理内容です。
<メカ関係>
①回転ギアのグリスアップ。数か所。
使用したオイルは「タミヤ Fグリス」です。ミニ四駆のギア等回転部分用。
②テープのオートポジション機能修理。
テープの種類(ノーマル/クローム/メタル)を自動検出の不具合。
検出部分の金具に貼るべきクッションを前回付け忘れていました。
<電気関係>
①メカ制御用ASICの電源に電解コンを追加。
ここの電圧が不安定になるとメカ制御が不安定になり、テープを駄目にする可能性があるので念のため。
さて、ここからが音質に影響する重要な部分です。↓ ↓ ↓
その前に、
カセットデッキのアナログ部分は大きく分けて次のブロックで構成されています。
電源回路、PB(PlayBak=再生)ヘッドアンプ、再生EQ
再生Dolby回路(B/C type)、録音Dolby回路(B/C type)
REC(録音)回路、REC EQ、バイアス回路(発振回路)
その他SW回路、ミューティング回路、レベルメーター回路、ヘッドフォンアンプなど。
※この機種の回路図が手に入りませんでしたので、基板の追いかけと過去の経験で解析しました。
私の目的は、市販のミュージック・テープを再生する事と、過去若かりし頃に録り貯めた音源を再生するためだけなので、再生系を重点的に弄りました。なので、発振回路とHPA基板は取り外しました。
いよいよ作業内容です。
②取り敢えずアナログ基板は全て再半田しました。
再半田後、組み直して音を出してみようと思うと、あれ?音が出ない。
半田ショートさせた?壊した?ここはかなり悩みました。
そしたら、ナント!意外な落とし穴がありました。
おおもとのグランドとアナログ基板のグランドは、後面の銅シャーシから繋がる様になっていたのです。
これは分からなかったなぁ~。オシロまで引っぱり出して、信号確認しました。
この写真の左側と思いきや、なんと右側です。ならば右側の銅箔を出しておくべきでしょう~。
無事音が出る様になって、音質確認すると、再半田だけでも音が良くなった様に感じました。
③カップリングコンデンサ(電解コン)に0.1uFフィルムコン(ERO製)をパラ追加。
電解コンデンサは、おおもとの+-電源平滑ELNAのAUDIO用大容量以外は、全て松下のAUタイプ(オーディオ用?)が使われています。
フィルムコンを追加することで高域が改善されました。
④再生ヘッドからシールド線の基板上コネクタ接続をやめて半田で直付け。
ここのヘッドからの信号は、かなり微小でオシロでも見えないくらいです。
接触抵抗等があると音質に直接影響します。かなりSensitiveです。これは現役時代にも経験しました。
⑤再生ヘッドアンプのデカップリング・コンデンサの交換、追加。
再生ヘッドからの信号はNchのMOS-FET差動で受けている様です。ダイレクト・カップリング。
ここの信号は微小なので、音質に与える影響大です。
供給電源用電解コンデンサにニチコンの最高級品KZを投入しました。
狙い通りこの効果は絶大でした!!!。
低域から高域まで良く出る様になり、今までとは全く違う音質です。
⑥再生用EQアンプのオペアンプICをM5220からMUSES 8920に換装。
これも効果がありました。張りの有るクリアーな音になりました。
前段がFETならその受けもFETで決めました。
さらにこの電源にもニチコンKZを追加しました。
またEQ部も日ケミのオーディオ用470uFに換装しました。
⑦アジマス再調整、ヘッドクリーニング、ピンチローラーのクリーニング。
特にアジマスとヘッドクリーニングは音質に直接影響するので重要です。
<試聴>
ここまで施して、実際に当時の市販ミュージックテープを聴いてみると、実に自然で気持ちの良い音です。
その音質は、周波数レンジ不足など感じません。(歳のため私の耳自体のf特性も落ちているとは思いますが)
CDやレコードとは、また違う音です。今まで聴いたことのない、ある意味、新鮮な音です。
私のシステムでの比較で言えば、CDはドンシャリ系で作られた様な音、レコードは抜けの良い鮮度の高い音、カセットは厚みのあるしっかりとした所謂アナログの音です。兎に角、音に厚みがあります。耳障りなところが無く、長時間聴いていても疲れません。
その昔、30数年前にFMからエアチェックした貴重なライブ音源等も聴いてみましたが、結構良い音です!感動!!! アナログ万歳ーーー!!!
古い機種に現在考えれるノウハウと部品を投入してリアレンジした成果です。
他にも弄るとすれば、カップリング・コンデンサにニチコンMUSEの緑やBC或いはフィルムコンを使って見る事くらいですかね。予想としては、もう少し抜けの良い音になると思うのですが。
取り敢えず、今の状態で鳴らし込みすれば、もっともっと良くなると思う。
順番が逆になりましたが、今回、ヘッドの表面の摩耗具合も確認しておきました。
こんなもんでしょうかね。まあまあ良いと思いますが、、、。
右側の斑点は光の反射です。
これが14層に薄膜積層化したコバルト・アモルファス・ヘッド。
ついでに、懐かしいカセットテープの写真も撮りました。マクセルをよく使っていたみたいです。