計画で書いた様に、WE421Aを強力に駆動する様にドライブ段の見直しを図りました。
結論から書くと、
6DJ8系を使用し最適な動作点とする事で、かなり良い結果が得られました。
以下、実験経緯です。
はじめに、候補として挙げた球の規格を比較してみます。
ここで注目すべきは内部抵抗、そして注意が必要な項目は最大プレート電圧と損失です。
表から分かる様に、最も内部抵抗が低いのはECC88系です。但し最大プレート電圧が低い。
ここに着目しながら、球選びと設計。
まず選択したのは、6C33Cで好結果が得られた12BH7Aです。
この球に合わせて設計した動作点がこちら。動作点は150V 8.5mA。
今回は次段も含めた交流負荷線も引いてみました。
この設定で音を聴いてみると、悪くはありませんが何だか満足出来ません。ちょっと籠り気味で音抜けや広がりが今一歩って感じです。歪も少し多そう。
6C33Cの時と同じ様なロードラインにしたのだけど、どうも聴感上の様子が違う。
回路構成や出力管によって違うのかな?
差動回路に使うには直線性が悪く適してないのかな?と思い、12BH7Aの直線性を改善したECC99に交換してみたが同傾向。6CG7/6FQ7は手元に無かったので検討は中止。
そこで、次にECC88(6DJ8)系で設計し直しました。内部抵抗が12BH7Aの半分の2.6kΩです。
但し最大プレート電圧と損失に注意が必要です。
E88CC(6922)であればEp(max)220V有りますが、ECC88(6DJ8)では130Vです。
ECC88(6DJ8)でも使える様に設計します。
ここを考慮して引いたロードラインがこちら。動作点は、112V 9.5mA。
この状態で聴いてみると、良い感じです。
12BH7Aよりもかなり良い。歪も少なく感じる。
かなり音質が向上した。
音数が増えて、分厚い音になった。低音も良く出て、アタック、キレも良い。
ドライブ能力が向上したと言う事かな。
ドライブ段に使う球は、ECC88(6DJ8)系に決定です。
更に、ECC88とその高信頼管E88CCでは様子が違う。
E88CCのほうがノイズが少なく、音質も良い。
恐らく、製造工程、条件が違い、時間を掛けて丁寧に作られ高信頼性、と言う事が音質にも現れている。(個人的な想像)
実験的に、E88CCを使って、最大プレート損失を超えない様に注意しながら、電圧と電流を振り音質確認したところ、電圧を下げて電流を流した方が歪が少なく音数も多く、アタックも良く、音が厚く感じられました。
Vp100V、Ip10mA位が良さそう。
先輩諸氏の設計を参考にすると、6DJ8系は電圧低め100Vで電流を多め(10mA位)、負荷抵抗は5k~20kΩが高域特性が良く、歪率も優れると書かれていますが、実験でもその通りでした。