前回予告した様に、スピーカーボックス内のネットワークからウーハーまでの既存配線の延長に使う線材選びについて。
ウーハーの取付を180度回転させたので、元の配線では届かなくなり継ぎ足して延長するため。
まあ、最終的には「アレ」の一択に落ち着くでしょうが、それまでに2種類ほど試して見ました。
ひとつは、今後も使う事が無いであろう手元に有った「ウエスタンの細線」。線径コア0.3mm程度。
これは海外で電気街を歩いていた時にビンテージ品を扱うガレージ店(小屋)で見つけたもの。
一応「Western」と謳っていたが、真偽は?。
外皮は紙?の二重巻き、芯線はメッキ有りの単線で、1本の長さ180cm位のものが何本も。
これを5本束ねて手芸用の布紐の中に通しました。こんな感じ。長さ20cm。
実際に音を出して見みたら、腰高になってしまいました。低音不足。スピード感も不足。こりゃ、駄目だ。
やはり、束ねて見かけ上の合算線径を太くし抵抗値を下げても、1本の線径が細いとエネルギーが伝わらないと思いました。
素線同士を裸で束ね、理想の7本撚りにすると良いかも知れません。
二つ目は、最も色付けの少ない「ダイエイ電線」を使いました。20cm。
ダイエイ電線は金田式アンプの推奨となっている様です。
これは前者よりは良かった。
しかし、聴き込むと、低音の明瞭度とレスポンスが今一歩で少し籠りぎみでキレが有りません。
重くてモタツキが有る様に感じます。
もう少し使えばヌケてくると思いますが、1週間で次の本命ケーブルが到着したのでタイムアウト。
ここからは本命の「アレ!」。
いにしえの「Western Electric : WE (ウエスタン)」ケーブルです。20cm。
ウエスタン信者の私として、これを試さない訳には行かないでしょう。
WEと言えば、地球上で初めて大西洋に通信回線を引いた会社なので、このケーブルにもその信号伝達の技術が継承さている事でしょう。
今回購入したケーブルがこちら。
定番の「KS-13385L-1 16GA」です。
A.I.W. CORP.となっていますが、A.I.W.はWE社のOEM先です。
復刻版ではなく多分数十年前(1950年代?)のオリジナル品と思う。復刻品は例の赤い被覆の奴。
構造としては、被覆が2重構造で、内側がゴム系、外側は布繊維です。
WEお得意の構造で、静電気を嫌ったのと、ケーブル内を信号が通る時の表皮効果が考慮されています。
芯線は銅に錫メッキの撚線。太さは16GAです。
16GAがWEスピーカーケーブルの推奨径だそうですが、短距離の内部配線にはちょっと太かったかも知れません。
ユニットへの接続はファストン端子を廃止して、端子に直半田(Kester44使用)としました。
JBLやALTECスピーカーの内部配線は、ウエスタンでなければ本来の音はしないと言われています。
言い方を変えれば、これらのスピーカーを本来の音で鳴らせるのはWEのケーブルだけだとも。
但し、JBLスピーカーの内部配線は、当時物のベルデンが使われている事が多いとも言われています。
いずれにしても、ビンテージ・スピーカーには老舗ケーブルメーカーのヴィンテージ品を使うと言う事です。
今回はJBLオリジナルの内部配線(ベルデン?)を残しつつ、WEとの合わせ技となりました。
さて、肝心の音はと言うと、これは好みの分かれる所と思います。
現代の高品位なハイファイな音を求める人には向かないかも? ただ、古き良き時代のビンテージ的な音を求める人には好まれるでしょう。
予測ではもう少しキラキラした音なると思ったのですが、使用直後は然程では有りませんでした。
ウーハーに使ったからなのでしょうかね。このスピーカーのクロスオーバー周波数は2KHzなので、帯域の殆どがこのウーハーが支配している筈ですが。
まだ使い始めたばかりなので、鳴らし込みが進めば、もう少し変わってくるでしょう。
そして、使い始めて1週間後、驚きです!。素晴らしい音になりました。WEの本領発揮?!
なんとキレのある音でしょう。
各楽器の存在感、音が生々しく、臨場感が有り、特にボーカル物を聴くと歌い手が目の前に居る様に錯覚します(言い過ぎ)。
ケーブルも銅、錫、外皮の物質で構成されているので、信号を通す事で物性が変化して行くのでしょう。
他の電気部品のエージングと同じ理屈で、鳴らし込んでいくと、更に良くなる事でしょう。今後が楽しみです。
今回のスピーカー・エッジ交換で感じた事。
交換前の2~3年間は何を聴いていたんだろう。
交換した音を聴いて、元々はこんな音をしていたんだろうなと思う。
慣れっていうのは恐ろしいもので、次第に音質が劣化しているのに気が付かな事が多いです。
リペアしてみて初めて気づきます。
修理して本当に良かった。往年のサウンドが蘇りました。
加えて、スピーカーの内部配線の線材選びでも、音質が大きく変化します。
たかだか数十センチでも音の違いが分かる人にはわかります。
久々にスピーカーに興味が湧いてきたところで、タイミング良くこんな本が発刊されましたので、思わず買ってしまいました。