遅ればせながら、2012年の改造のなかで、特に改善効果が大きかったものTop10と、その改造から学んだ事を纏めました。改造による収穫と習得。
内容をこの1ページにギュっと詰め込み、かつ出来るだけ簡潔に書いていますので、参考にしてください。きっと、システムのチューンアップに役立つものと思います。
また、私の備忘録としても書き留めておきたいと思います。
それぞれの詳細内容については、私の過去のブログ投稿を見てください。
No.1 : クロック回路の改造 (CDプレーヤー) 効果★★★★★
やはり、音源としてデジタルソースを使う限り、この改造が1番良く効く。投稿記事も多く、成功体験も多い。
デジタル・ソースを扱う機器では、一般的に良く知られた内容である。
デジタル・ソースはいくら頑張っても、情報量ではアナログに敵わない。でも扱いやすさでは絶対にデジタル・メディアの勝ちである。
それで私は、扱いやすさからデジタル・メディアのCDを使っている。このCDのデジタル・ソースを如何にしてアナログに近づけるかが、私の求めるところである。
DACやSRC(Sampling rate converter)のクロックを単なる水晶発振子+Cではなく、高精度・安定のクロックモジュールを使い、電源は専用の電源を使い、且つ、バッファーで波形整形して、安定した波形にする事により、低ジッターの波形を作る事が出来る。
この改造により、解像度が飛躍的に上がり、鮮明な音が得られた。今まで聴こえなかった音も聴こえてくる。
ちょっと手が掛かりますが、それだけの価値はあります。
改造した部分の回路図。
- Decorder部分。
- SRCとDAC部分。
学んだこと>
デジタル信号はクロックを正確かつ安定させ、忠実にDigital→Analog変換することが重要であるという事。特にジッター(波形の揺らぎ)の影響が大きいという事。
キーポイント>
クロックは低ジッターにすること。
No.2 : ボリュームの影響 (プリアンプ、ヘッドフォンアンプ) 効果★★★★
機器に使われている音量調整用のボリュームは、一般的には抵抗体としてカーボンが塗られていて、その上を金属の摺動子が動く。
このカーボンの材料そのものと、カーボンと金属の接点が音質に悪影響を及ぼす。
このボリュームの変わりに、抵抗素子を数珠繋ぎしたアッテネータを使うと、音の鮮明度が格段に向上する。
私の場合、プリアンプに東京光音のアッテネーター(ちょっと高価)とヘッドホンアンプに一般的な22ステップのアッテネータを使ってみたが、音がはっきりし、音の見通しが良くなった。
一般的なSMT抵抗を使ったアッテネータでも高価は充分にある。
(右が東京光音のボリューム、アッテネータ) (配線後)
(HPAに使用したアッテネータ) (換装後)
学んだこと>
ボリュームの音質に与える影響は大きいということ。抵抗体材料、接点によるものと思われる。
キーポイント>
ボリュームは、できれば使わないほうが良い。
No.3 : 抵抗の変更 効果★★★★
抵抗は機器の回路で大変多く使われていて、カップリング・コンデンサ、ケーブルと同じく、信号が通る部分なので影響が大きい。
私も、この抵抗の置き換えを実施するまでは、そんなに影響ないだろう、むしろカップリングコンデンサのほうが影響が大きいだろうと思っていたが、実際に交換してみると、以外と影響はコンデンサよりもむしろ大きいと思えた。
実際に色々な回路ブロックの抵抗を交換してみた結果は、抵抗そのものの持つ音質が同じ傾向でそのまま現れた。
交換箇所:ヘッドフォンアンプ、CDプレーヤー真空管出力回路とDAC周辺、6AS7 PPアンプ、真空管プリ入力減衰回路
音の傾向としては、次の通り。推奨品を2点。
・Dale RN65D、RN60D、RN55D (電力定格W違い)
--- 兎に角情報量が多くなるが、決して細くならない。しっかりとパワー感のある音。
・タクマン REY
--- Daleよりもさらに情報量が多く、音が立体的になる。低音が良く伸びて、弾ける様な音。皮、弦の弾ける感じが表現される。今の所、私はこの抵抗が一押し。
下の写真はDale RN65D(上)とRN60D(中)、RN55D(下)
タクマン REY (注)方向性を持っているので、信号の流れに方向を合わせる必要がある。写真の場合、右が入り口。
学んだこと>
抵抗の影響もコンデンサ以上に大きいということと、音傾向は使う箇所に依らないということ。
兎に角、昨年は抵抗体の影響を学ばさせられた。
キーポイント>
侮れない抵抗たち。
No.4 : 電源レギュレータの導入 効果★★★
気になっていた家庭AC電源周りについに着手。電源ケーブルの交換とレギュレータの導入。
電源レギュレータは評判も良くスペースを取らないFUMAN製AR-1215を導入。
AC→DCにレギュレート→ACにする方式のものです。
導入後は、音に静寂感が出てきて、細かい音まで聴こえる様になった。導入前に予測していた音場の狭まりも感じない。
学んだこと>
音を作り出す源は、電源であり、この部分がいかに安定していてクリーンで、そして強いドライブ能力を持っているかによって、最終的な出力の音に影響するということ。
キーポイント>音の源はAC電源。ここをしっかりと押さえることが重要。
No.5 : 電解コンデンサの変更 効果★★★
CDプレーヤーの真空管回路部にJJ製の電解コンデンサを使った結果、低音のもたつきが解消し、低音のスピードアップ(応答性改善)が図れた。
フィルムコンデンサを並列に入れると、さらに改善する。
学んだこと>
電解コンデンサは、使う物によっては、鉛を背負った様な音になる。オーディオ用は、その部分が考えられている。
キーポイント>
電解コンデンサは良質なものを使う事で、低域の音質が改善する。
No.6 : 機器接続ケーブルによる音の違い(ACコード、RCA) 効果★★
抵抗と同じで、ケーブルも音質に影響する。
RCAケーブル、AC電源ケーブルを色々と換えてみた結果、高価なケーブルほど、音に色が付き、クセが出る。
試したケーブル:
AC電源ケーブル)
・オヤイデ PA-23 PCOCC --- × 音が細くなってしまう。
・Supra --- 情報量多く、繊細でクリアー。比較的フラット。
・ベルデン --- 良い、お勧め。クセがなくフラット。音に芯がありパワーがある。
このケーブルとマリンコプラグの組み合わせが良い。こんな感じで。
RCAケーブル)
試したケーブル:
・Gohsam --- 音が細くなる。繊細で音の広がりはOK。
・PCOCC(Furtech) --- やはりこれも音が細くなる。高域が綺麗。暫く使っていたが最近ベルデンに交換。
・ベルデン8412 --- 定番でしょう。力強い、骨太の音。
学んだこと>
電気は、水道の様に、パイプの中を通って行くのではなく、ケーブル、導体の中をトコロテンの様に突き出し式で通って行くので、ほんの僅かな距離(長さ)、たとえ5cmであっても、その材料の持つ特質で、全体的な音に影響するという事。
導電率が良ければ良いというものではない。結晶構造にも影響する。
PCOCCは、単結晶のため理想的な導体となるが、音質としては、細くなる傾向にある。
今の所、ベルデンはクセが無くて、気に入っている。
情報量ではSupra、芯の太い力強いと言えばベルデンである。
オヤイデは、良くなかった。
キーポイント> 高価なケーブルほど、音に色やクセが現れるので、好みにより使い分けが必要。
No.7 内部配線用ケーブル 効果★★★
上にも書いたが、たかが5cmでも音が変化する。
使用して良かったのは、モガミのシールド線、クロスワイヤー・レプリカと、一般的なベルデン線である。
シルバーワイヤーも使ってみたが好みではなかった。
モガミ シールド線
クロスワイヤー・レプリカ
ベルデン内部配線用ケーブル。写真では見難いですが、一般的なノーブランド品よりも芯線が太い。
学んだこと>No.6と同じ。機器接続ケーブルよりも影響大かも。
キーポイント> たかが数センチのケーブルでも侮れない。思ったよりも効果がある。
No.7 : 2012年に出会った真空管たち
いろいろ試しましたが、システムの各回路ブロックで一番良かったものを列記します。
・Siemens E88CC --- CDプレーヤー
優等生、特に味付けがなく、しっかりとした音。情報量も多い。
・Philips E80F --- プリアンプ
Pinched waistタイプ。管の外形の中間部分が少しスリムになっている。
何の為のクビレなのか判らないが、Web投稿でも、この1本があれば、もう充分だとか。
しかし、レアーなので見つけ出すのが難いが、苦労して手に入れたら、それだけの価値はある。
・Mullard CV4003(12AU7) --- プリアンプ、パワーアンプMC275
音が繊細で滑らかで芳醇、潤い、コクがある。ヨーロッパの香り。
・GEC CV4004(6X4) --- プリアンプ整流管
Good!これに換えてからは、もう他の球に変えなくて良くなった。
・Seimens E83CC 3mica --- MC275
これは良い。安定したしっかりとクリアーな音。低音が弾む。傾向はテレフンケンに似ているが、こちらの方が上と思う。
・SED(Winged) 6550C --- MC275
Tung-sol 6550よりもパワー感がある。低音が低いところまで、ボンボン出る。
No.8 : OP amp(オペアンプ)
今までOPA627が一番良いと思っていたが、真打登場。
巷で高評価の新日本無線のオーディオ用オペアンプMUSES8920を使ってみた。
これが噂に違わずなかなか良い。OPA627はとても高価であるが、こちらは手頃である。
同時に3個購入しヘッドフォンアンプ、DAC用IVに使ってみたが、解像度が高く、静粛で広がりもある。
低域に関して言えば、OPA627よりも良いと思う。OPA627A 本物2個所有。
学んだこと>高音質オペアンプはOPA627が全てではなかった。
No.9 : コネクタ接点の影響 効果★★★
機器の内部には、コネクタが沢山使われており、そこの接点の影響で、折角の良質の音が伝えきれていない。
私の機器の内部は比較的コネクタは少ないほうだが、何箇所かに使われている。
そこで、音質に影響しそうな箇所のコネクタを廃止して、ワイヤー直半田つけで接続してみた。
そしたら、やはり音は大きく変化した。さらにクリアーな音質になり、音に立体感が出てきた。
学んだこと>
接点は鬼門である。できるだけ少ないほうが良い。できれば全て無くしたい。
キーポイント>
接点改良剤を使って悩むより、直付けで全て解決。
No.10 : PCオーディオ DDCの導入
普通PCオーディオをやっている人は、PCの出力をそのままDACのUSBに入れているが、私の場合は、PC→DDC→DACと接続している。
DDCを間に入れる理由としては、私が使っているDDCはバルク転送なので、PC⇔DDC間でデータのベリファイをする。そのため原理的にデータエラーは発生しないので正確なデータ転送が可能である。
一般的なUSB転送は、一方通行なので、データ垂れ流しでエラーがあってもそのままか、受け取った側でそれなりに補正している。
DDCを入れる事で、やはり音の鮮度は向上した?様に思える。
学んだこと>USBのデータ転送方式にも色々あること。どの方式が音楽再生に適しているかと言うこと。
補 : チューブ・ダンパー 音質的には悪いほうに働く
2種類のチューブ・ダンパーを購入して、試してみたが、いずれも、音の広がりが無くなり、センターに寄り、余韻も少なくなり、真空管の良い所である開放的で伸び伸びと唄う感じが損なわれてしまった。
放熱効果はあるかも知れないが、あまり使いたくないアイテム。
学んだこと> 真空管自体を硬く固定すると音の広がり、余韻がなくなる。
以上です。お役に立てば幸いです。
まだ、加筆、修正する可能性がある事をお許しください。