過去に使用した実績のあるコンデンサの個人的な音質評価、感想です。
私の備忘録的な簡単なコメントだけですが、何かの参考になればと思い投稿しました。
あくまでも私個人の主観ですので、人により評価が違ったり、使用箇所、印加電圧によっても違う結果になる事を断っておきます。個人のメモ書き程度に捉えて下さい。
また、このブログを始めた頃からの経験ですので、記憶も曖昧になっている物も有ります。
フィルムコンデンサについては、このブログの前回記事で纏めました。
以下のタイプ名は、略称・呼称で書いている物もあります。
今回はペーパー・オイル・コンデンサ編です。
オイルを使ったコンデンサは、フィルムコンデンサに比べ、殆どの物がオイルによりダンプされた様な音で、音艶が乗り味わい深い音になります。
真空管の音によく合います。ハマると癖になります。
主にカップリング・コンデンサとして使用します。
構造的には、オイルが漏れない様に、リード取り出し部分にハーメチック・シールが施してあります。
このシールが弱いものは、湿度で内部の絶縁リークが発生し使えなくなります。
使用前には絶縁抵抗と容量値の確認が必要です。
ここに掲げた物は全てヴィンテージ品で、現在は生産されていません。
本来の音質を得るまでには200時間以上のエージングが必要です。
<ペーパー・オイル・コンデンサ>
SPRAGUE(スプラグ)製 Vitamin-Q
USA製。マニアの間では有名なコンデンサですね。私も好んで使います。
色が乗り音抜けも良いです。音の空気感も増しますが少し派手さがあります。
ポップ、ロック、ジャズに合います。ギター・アンプにも使われます。
使われているオイルを「Viamin-Q」と言うらしいです。
SPRAGEのハーメチック・コンデンサには、Vitamin-Q以外にも様々な種類があります。
他に私が使った事がある物は、「118P」です。
メタライズド コンデンサでメタライズドペーパーとポリエステルフィルムをワックスに浸した構造です。
外観から一見すると、オイルコンの様ですが違います。オイルは使われていないと思います。
音的にはメリハリが効いた音です。少し高域が鋭い音。派手さが欲しい時に使います。
ここで、オイル・ペーパー・コンデンサは無極性の筈なのに、各コンデンサにわざわざ黒のマークが付けてあるのは、ペーパーの巻き始めが判る様にして有る為です。
こちらを回路の低インピーダンス側に接続すると、低ノイズ(外部誘導を受けにくい)に構成が出来ます。
ミリボル・メーターに接続して、部品を手で触り誘導を確認すると巻き始め/終わりが確認出来る様です。
WESTCAP製
USA製。これも自作派には有名なオイルコンです。
高域はVitamin-Qよりも柔らかく耳に刺さりません。高域が煩くなく円やかです。
可も不可も無く全帯域でフラットです。無難な音。リファレンスとして良いでしょう。
音に色づけをしたくない時に使うと良いでしょう。
小容量、高耐圧品を使った時は、音が詰まった感じになりました。
鳴らし込みには時間が掛ります。
Arizona Capacitorsと言うメーカーが当時のWestCapの製造設備を買い取り復刻した製品も有りますが、材料が違うのか、オリジナル品とは音質が違うらしいです。
SPRAGUE製 Black Beauty
USA製。私はこの音色が大好きです。。。
これを使ったら、もう他は使えません。
音抜けが良く、空気感が素晴らしです。聴いていて気持ちの良い音です。
弦楽器、管楽器の音が艶やかです。
太鼓も皮が弾ける音の感じが良く、ボーカルは目の前に浮き上がります。
但し、ハーメチック・シールが施して無いので、DCリークしている物が多く、良品を見つけるのは至難の業。
耐圧ギリギリのDC電圧を数時間印加して、リークを確認する必要があります。
使う場合は、リスクを承知して使わないといけませんが、それなりの価値はあります。
AEROVOX製
SPRAGUE「Vitamin-Q」と同傾向の音です。高域が若干ザラついて聴こえるかも知れません。
私が、初めて出会ったオイルコンです。
プリアンプのカップリング・コンデンサをフィルムコンから交換した時の変化が印象に残っています。
この時からオイルコンに嵌り始めました。
GUDEMAN
オイルコンでも独特な音質を持っています。かなりダンプされた音です。
第一印象は、コンプレッサーが掛った様な音です。
エージングと共に和らぎますが、かなり時間を要します。500Hr以上。
エレキギター・アンプ等に合いそうです。
JENSEN製(Made in DENMARK)
オイルコンでも割と癖の少ないほうと思います。
可不可なく、それでもオイルコンの音質は持っています。
リード線が銀線です。
10年前は、割と手頃な値段で入手出来たのですが、最近は高騰している様です。
他にも沢山有ったと思いますが、音の印象記憶が曖昧なので割愛します。
また、電源用のオイル・ブロックコンデンサも有りますが、これは今回の物とは別扱いです。
(まとめ)
私の今迄の経験から以下の様な見解に至りました。(あくまでも私見)
①本来の音が出てくるまでエージングが必要。
使い始めは、音が固かったり籠ったり。或いはザラツキ、きつく、歪っぽかったり。
物に依りその挙動が違う様です。
使い始めで判断するのは投資が無駄になります。
最低でも200時間は鳴らし込みが必要です。フィルム・コンよりも時間が掛ります。
②適材適所で使いましょう。
1つの回路で同じような音質傾向のコンデンサばかりを使うと音質がそれで決まってします。
色々と取り混ぜて使うのが良いでしょう。
オイルコンばかり使うとコテコテの音になります。
色付けの少ないフィルムコンと混ぜて使うと良いでしょう。
③使用前には必ずDCリーク・チェック、容量チェックをしましょう。(重要)
シール部分(本体とリード線の接合部)から湿気が入り内部で絶縁低下している物が有るので、リーク・チェック済の物を購入しするか、使用前に必ず絶縁抵抗の確認をしましょう。
Black Beauty、Black Cat、Bumble Beeは特にリークに注意が必要です。
耐圧ギリギリのDC電圧を印加して、電流が流れないかチェックすると良いでしょう。
私はこの様にしてチェックしました。こちらの過去記事を参考にして下さい。(⇐クリック)
④私なりに、敢えて選ぶのなら、
最後の音決めには、価格と入手が可能ならば、やはり「Black Beauty」です。
しかし、何れにしても、人それぞれ音の志向や使用場所の事情等が有るでしょうから、使ってみないとわからないですね。
※このページは、断りなしに、追記・修正する場合があります。
別の機会には、電解コンデンサについても纏めてみたいと思いますが、時間が掛りそうです。