My Audio Life (趣味のオーディオ)

真空管オーディオを中心に、私のオーディオチューンアップについて書いています。最近はPCオーディオにも取り組んでいます。

カセットデッキ再生ヘッドアンプの再見直し。~ようやく納得できる音質へ~

2023-08-06 11:48:12 | カセットデッキ

カセットデッキTEAC製V-5010の高音質化に向けて更なる改良をおこないました。

この1か月近く「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤を繰り返してましたが、漸く納得のいく音質に到達しました。

改良内容については、様々なメーカー、機種のヘッドアンプの回路を参考にして行ないました。

その詳細は以下です。

 

RLCフィルタのコンデンサ容量と抵抗値を変更。

 C109 0.001uF(1000pF)に146pFをパラってましたが、これを220PFに容量アップ。

 もう少し大きい容量も試しましたが、音質の上品さがなくなり良くない。

 抵抗値は、1.3kΩ→1.0kΩとしてQ値を大きくしました。

 これらの目的は、高域をもう少し持ち上げるため。

 RLCフィルタのカーブはこちら。 

 1kΩ+27mH+1220pFで、カットオフ周波数fc=27.7kHz、Q=4.7

 

 

NFB回路に小容量のコンデンサを追加。

 今までは無かったのですが、120kΩ//1MΩ=107kΩ(後に1MΩは撤去)に47pFをパラ追加。

 この目的は、急峻な波形の立ち上がりを滑らかにして聴きやすくするためと、発振を保護しオペアンプ回路を安定させるため。

 これで高性能なオペアンプも使用可能となりました。

 

オペアンプを交換。

 高性能なオペアンプが使用可能となったことで、BB製OPA627BPに代えてNS製のLME49710HA(CANタイプ)を使用。音質的に、こちらがスッキリ。

 LME49710はNS社が誇るハイパフォーマンス・オーディオ用オペアンプです。

 

NFB回路の電解コンデンサを撤去。

 ここの電解コンデンサは音質に大きく影響。

 様々な電解コンデンサを試してみましたが、電解コンデンサを使う限り、音の情報量は減り、スッキリしない音になると言う結論に達しました。

 この電解コンデンサの役目は、低音のカット(帰還量を増やす)なので、思い切って撤去しショートしました。

 その結果、スッキリと情報量の多い音となりました。低音が出過ぎる事もありません。

 

ヘッドに並列のコンデンサの撤去。

 このコバルトアモルファス14層のヘッドには、高域持ち上げの効果が無い様です。

 付ける事でノイズも拾い易くなるので撤去しました。このヘッドは元々高域特性が良いのが売り。

 

低域側のEQカーブを元に戻す。

 改造後、低域が足りない様に感じたので抵抗を121kΩに戻し、3,240uSとしました。

 

①~⑥を実施した回路図(赤丸部分が変更箇所)と写真。

(参考:メーカーオリジナル回路)

 

テープ・スピードの調整。

 同じ曲をCDと聴き比べると何となく遅い様なので調整しました。

 調整の様子。

 調整方法は、テストテープ(3kHz)があれば簡単ですが、持ってないので、実際にテープを再生し、片面の再生時間をストップウォッチで計測。

 タイトルジャケットに記載の時間と比較。 片面約22分で誤差1秒以内になったのでピッタリです。

 

この状態で、同じ曲をレコードとカセットテープで聴き比べましたが、ほぼ同等の音質となりました。

聴き比べ時の詳細については、後日投稿します。

さてさて、聴き比べたタイトルは何でしょう? 

上の写真に少し映ってますが、昨今話題の80年代のシティ・ポップです。

 

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カセットデッキの高音質化。~電源、ヘッドアンプNFB回路~

2023-06-18 13:13:28 | カセットデッキ

カセットデッキの音質改善を続けています。

前回の高域補正に続き、今回は電源関係と再生EQアンプのNFB部も弄ってみました。

 

1.電源強化

 ①正負レギュレータの出力に電解コンデンサを追加。

  元の10uF/25V(C187,C188)に、ニチコン MUZE-KZ 47uF/25Vを並列接続。

 ②この電解コンにパラに入っているセラコン(C189,C190)をフィルムコンに交換。

  円板セラコン(0.022uF)の歪っぽさを嫌い、フィルムコンWIMA製0.033uF/50Vに。

 

2.NFB回路の電解コンデンサを交換

 この部分のコンデンサ(C104)は、真空管アンプのカソード・パスコン同様に音質への影響大。

 交換前は、BC製220uFとニチコンFG220uFを並列接続。

 しかし、ニチコンFGが音を籠らせていることが判明。BC製だけにすると音がスッキリ。

 容量も半分になりますが、100uFの機種もあり、220uFもあれば充分でしょう。

 写真下段の左がニチコンFG、右がBC製。

 ならば、他にもっと良質のコンデンサはないかと部品箱を漁り試聴しました。

 その結果、

  スプラグ製ATOM(写真上段左) 250uF/16Vが骨太でしっかりとして、情報量も多く、低域~高域まで良く出ていました。

  ERO製(写真上段右)も良かったのですが、ちょっと音質的に薄い感じでした。それにデカい。

  このNFB回路のZ=1/(2 x 3.14 x f x C) とR108 82.5Ωの合成抵抗でアンプのゲインが決まりますので、ローカットのアンプとなります。因みに、Zはf=50Hzで12.7Ωとなります。

 

3.RLCのフィルタ回路

 もう少し高域を持ち上げようと、C109 1,000pFにディップマイカ146pFをパラってみました。

 これにより、fc:30.629kHz ⇒ 28.612kHzになりますが、コブも低い側に移動するので以前よりも高域が持ち上がります。

 

変更後のヘッドアンプ(再生EQアンプ)部。

変更後の回路図: 

 

音質的に、低域は締まり、中域~高域が明瞭になり、全体的にバランスの良い感じになりました。

歌声も温かみが有り生々しいですし、何よりもデジタルの様な聴き疲れを感じません。

 

お気に入りの1本です!!! 『DOLBY HX PRO』録音。

 

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カセットデッキのEQ時定数や高域補正など。

2023-06-10 15:18:40 | カセットデッキ

カセットデッキがもう少し音質改善出来るのでないかと、再生ヘッドアンプを見直してみた。

愛用のカセットデッキはTEAC製V-5010。

前回のBIAS TRAP回路に続いての検討になります。

 

カセットデッキにおいて、ヘッドでの高域減衰は仕方ないので、何かしら補正する必要があります。

1.再生イコライザの時定数(ノーマルテープの場合)

 <高域側>

   規定値は120uSですが、購入時は4.3kΩ(R106) x 0,027uF(C103) = 116.1uS

   過去の改造により現在の設定は、4.42kΩ x 0.027uF = 119.34uS。

   これを4.75kΩ x 0.027uF = 128.25uSとし、高域の減衰量を少な目に。

 <低域側>

   摩耗したヘッドを研磨した為か、コンターエフェクトで低音が若干うねってモヤモヤしてる。

   このうねりで高音を汚しているかも知れない。

   そこで、低域のEQを若干高めにシフトしてみる事に。

   今は、規定値3,180uSに対し120kΩ(R107) x 0.027uF(C103) = 3,240uS (購入時状態)。

   若干低めに設定してある。

   NFBの電解コンの容量が他社よりも大きい事からもかなり低域を攻めたのではと思う。

   本機スペックの周波数特性も「15Hz~」となっている。

   しかし、これではコンターエフェクトをまともに受けそう。

   それに15Hzが鳴らせるスピーカーってどんなの? 普通は必要ないのでは。

   これを120kΩ//1MΩ=107kΩとし、時定数を107kΩ(R107) x 0,027uF = 2,889uSに変更

     ※この様に設定しているメーカー、機種もある。

   目論見通り、低音がスッキリして、高域も綺麗になりました。

 

2.ヘッドの共振コンデンサ

 ヘッドの材質や種類にも依るので、機種によりこのコンデンサが有ったり無かったり。

 ナカミチやTEACの一部機種には付いています。このV-5010には無し

 これは、ヘッドのインダクタンス(L)とCを並列共振させて高域を補正するためのもの。

 取り敢えずディップ・マイカ・コンデンサ 100pFを追加しました。

 ヘッドのLが不明ですので共振周波数の計算が出来ません。シールド線の浮遊容量も。

 このコンデンサには、ヘッドの機械的共振による高周波ノイズを低減する役目も有る様です。

 

3.高域補正回路

 実は、バイアストラップ回路に秘密が有ったのです。

 RLCフィルタ回路が、高域補正の役目も担っていたのです。

 インダクタのおかげで30kHz付近にヤマが出来て、これで高域を持ち上げているのです。

   ※RLCフィルタの「カットオフ周波数」「周波数解析」には、「フィルタ計算ツール」を使わせて頂きました。

 現行は直列抵抗1.5kΩ(R109)でしたが、これに10kΩをパラって1.3kΩに。

 1.3kΩ(R109)、27mH(L101)、1,000pF(C109)で構成。

 fcは30kHzで変わりませんが、Qによるヤマが僅かに高くなりました。

 聴いてみると高域が持ち上がって良い感じです。

 さらに1kΩでも試しましたが、高域が持ち上がり過ぎて不自然、クセが強くなります。

 1.3kΩが適当な様です。

 

今回の変更は、2.、3.を実施しただけでは、濁った高域が持ち上がるだけで、煩く感じました。

まずは、1.の低域のうねりを対策してから、2,3を実施する必要がありそうです。

<変更前の回路図>

<変更後の回路図> 赤丸で囲んだ所が今回変更箇所。

 

変更後のヘッドアンプ部の写真。

 

今回、「テープ・レコーダーとその活きた使い方」(誠文堂新光社)を参考にしました。

今から40年前に購入した本です。

 

抵抗、コンデンサが潤沢にあれば、更に良い設定が見つかるかも知れませんが、手持ちの抵抗、コンデンサでは、こんな感じです。

テストテープは所有してないので、自分の耳だけを頼りに、同じ曲をCD、レコードと聴き比べながら、調整しました。

80年代中頃の同じ曲を比較した場合、端的に言えば、「CDの音は繊細で美音」、「レコードの音は抜けが良く空間表現が豊か」、「カセットテープは音が厚い」ですかね。

特にカセットテープは、音がギッシリと詰まっていると言った感じです。

 

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伝説のライブをアナログ・テープで聴く。

2023-03-18 10:07:16 | カセットデッキ

当時カセット・テープで販売された80年代人気アイドルの「伝説のライブ・ステージ」2作品を聴きました。

 

AKINA EAST LIVE INDEX-XXⅢ / 中森 明菜

昨年NHKで放送され話題を呼び、再放送もされた「中森 明菜のイースト・ライブ(1989年)」です。昨年末の紅白歌合戦にも本人が出演するのではとの噂も有りましたが、私的には出演しなくて良かったと思います。当時の印象のまま記憶に閉じ込めておきたいからです。

この「イースト・ライブ」は、今更説明するまでも有りませんが、中森 明菜さん絶頂期のライブで、それまでリリースされた全シングル23曲が全て詰め込まれています。まさに伝説の最強ライブです!

この「イースト・ライブ」当時の販売媒体は、DVD、CDとカセットテープのみです。

DVDとは曲順が異なり、こちらがコンサート通り本来の曲順です。但しMCはカット。

また、当時のアナログ音源のままで聴けるのは、このカセットテープだけです。←ここが重要!

実際にステージを記録した媒体が、デジタルかアナログか知りませんが、恐らくテープでのマルチトラック録音だったのではと想像します。

このカセット・テープは、「DOLBY SYSTEM」「DOLBY HX Pro」での録音なので、音圧高く、音質も結構良いです。と言っても、デジタルほどは音が良くありませんが、加工された様な音ではなく、現場そのままの音なので雰囲気があって良いです。音に厚みが有って、明菜さんの声も厚く力強さを感じます。ライブでこの歌声は素晴らしいの一言です。まさに歌姫。

 

最近、ラッカーマスターのレコードも発売されている様です。

私は聴けてないのですが、どうなんでしょうかね?

 

’87 ファースト・ライブ~星紀行~ / 薬師丸 ひろ子

薬師丸ひろ子さん初めてのコンサートの模様を収めたカセット・テープです。

それまでのヒット曲「セーラー服と機関銃」「メイン・テーマ」「すこしだけやさしく」「元気を出して」「あなたを・もっと・知りたくて」「Woman"Wの悲劇"より」「探偵物語」が収録されています。

特に「Woman"Wの悲劇"より」(松本隆作詞、松任谷由実作曲、松任谷正隆編国)は最高ですね。松任谷由美(呉田軽穂)さんも自身最高の作品とコメントされています。

また「元気を出して」(竹内まりや作詞・作曲)は、1980年代の竹内まりやの代表曲のひとつ。

コンサートは、アカペラの「星はどこへ行くのでしょう」で始まり「セーラー服と機関銃」に繋がります。この繋がり方、良い感じです。また途中でもアカペラで「椰子の実」(島崎藤村 詩)が歌われています。

薬師丸さんの透き通った声が素敵です。まさに唯一無二のクリスタル・ボイス。彼女の魅力ですね。

MCの言葉使いで、お育ちが良いことが分かます。とてもお上品で、言い方悪いかもしれませんが、お嬢様を感じます。

このテープも「DOLBY SYSTEM」「DOLBY HX Pro」で録音されています。

そして「XDR」と表示があります。これはEXPANDED DYNAMIC RANGEの事らしいですが、聴感上はその効果をそれほど感じません。

最近?のライブでは、「Live in 春日大社」が良いですね。

アレンジも変えずに原曲と同じキーで歌うのは、彼女のポリシーらしいです。

ヒット曲や「夢で逢えたら」「野生の証明(戦士の休息)」も歌われています。

彼女の歌声には、ストリングスの音色が良く合いますね。

 

こうして、たまにカセットテープで聴くのも、音質云々よりも雰囲気があって良いものです。

 

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カセットデッキのヘッドを再研磨。

2023-03-02 13:07:38 | カセットデッキ

前回、ヘッドの研磨により画期的に音質が改善したので、調子に乗って再度丁寧に気合を入れて研磨する事にしました。

 

前回は、お試しでヤスリの番手は#6,000 → #10,000(0.5um)まで。

今回は、#6,000 → #10,000(0.5um) → #15,000(0.3um)まで細かくしました。

時間も、#6,000は簡単に、#10,000を15分、#15,000を30分くらい費やして、都度ルーペで表面状態を確認しながら磨き上げました。

流石に、#15,000で磨き上げると、表面は鏡の如く「ピッカ、ピカ!」になりました。

写真では前回と違いが判り難いですが、肉眼ではヒカリ具合が違います。

さらに#20,000もやりたかったのですが、近所のホームセンターには見当たらず。

Amazonでは取り扱いがある様です。

 

ヘッドをベースに取り付けたままの状態で磨いたので、後でテープパス・チェッカーで走行状態をチェック!。特に問題無さそう。

念のため、ヘッドの消磁も実施。フォーク型よりもこれが簡単で便利です。

市販のミュージック・テープを再生、音出ししながらアジマス調整。

おおっーー!、以前よりも音質がかなり良くなっている!!!

 

さあ、これから何を聴こう!

 

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カセットデッキのバイアス・トラップ回路定数変更。

2023-02-23 14:09:28 | カセットデッキ

他にも音質改善に繋がる箇所があるのではと思い、少し弄ってみた。

ひとつは回路部品、もうひとつはヘッドの再研磨。後者は次回に投稿。

 

ティアックのカセットデッキ V-5010のBIAS TRAP回路を見直し。

この回路は、テープに録音する時に重畳させた高周波バイアスを再生時にトラップする目的のものです。

一般的なバイアス用発振周波数は、80kHz~100kHz、HX Pro搭載器で150kHz位だったかな?(←記憶が曖昧)

この機種の場合はHX Pro搭載なので、サービスマニュアルによると「150kHz」です。

そのため、カットオフ周波数は他社品(ソニー)と比べると少し高めに設定されています。

そこで、少し下げてソニー品に近づける様に定数変更。

(ソニー製品の場合)

TEAC V-5010では、L(L101に該当)=27mH、C(C108に該当)=39pFになっていましたが、部品箱にシルバーマイカ 75pFが見つかりましたので、Cだけをこれに変更する事にしました。

オリジナルは、円板セラミックコンデンサの39pF。←これでは歪っぽい音です。

インダクタ(コイル)での音質影響も気になりますが、これを取り除くにはGIC回路を使わなくてはなりません。

一時期ソニーがGIC回路を積極的に取り入れていた様ですが、片ch当たりオペアンプが2回路必要且つ複雑になります。ソニーでも後期モデルではLCフィルタに戻してる様です。コストの関係?

(SONY TC-K555ESG 回路)

 

ここでちょっとヘッドアンプの回路についても、調べてみました。

各社色々と違いがある様ですが、1980年代はDCアンプ構成が主流。

当V-5010のアンプ構成は、ソニー TC-K555ESGやK555ESA、TC-K666ESによく似ています。

当時、他社の製品を分解、回路解析、研究したのでしょうね。

TC-K55ESGはバイアストラップ回路がGICですが、ここをLC型にした感じ。

 

この状態で聴いてみると、今までよりも歪っぽさが後退したように思います。

バイアストラップのコンデンサをセラミック・コンデンサからディップ・マイカ・コンデンサに変更した効果と思います。

 

 

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カセットデッキ(TEAC V-5010)の再レストア。~ 回路系 ~

2023-02-17 13:18:18 | カセットデッキ

メカ系の再修理が完了したので、今度は回路系を弄ります。

2年位前に、一度ヘッドアンプ、EQ回路周りや部品の換装を実施していますが、再度同箇所を弄ります。

 

<差動回路用定電流回路>

ヘッドアンプの差動回路用定電流回路を弄ります。

今までは定電流回路用FETにSONY製2SK43を使っていたのですが、これを取り外して真空管プリアンプの差動回路定電流用に使ってしまったので、代わりに東芝製2SK170BLを調達しました。

因みに、2SK170には中華製の偽物も存在するらしいので注意。今回調達品は本物。

ゲート、ソース間の抵抗で電流調整しました。82.5Ωで良い感じになりました。

差動回路用FETは2SK389が使われていますが、ロードラインを引いてみると丁度良さそう。

 

回路図では、こんな感じです。

 

<オペアンプ>

次に、その後段のオペアンプIC。

さきほどの差動出力をダイレクトに受けています。

ここに使うオペアンプでかなり音質が変わります。

結論から言うと、さすがOPA627BPがずば抜けて良かったです。

手持ちのオペアンプを交換して出音を確認。

ここは元々2回路入りオペアンプを使う様になっていますが、1回路入りも自作の2回路化基板に挿して使ってみました。

試したのは以下。

 ・1回路入り:LT1028、LME49710HA、OPA604AP、OPA637BP、OPA627BP

 ・2回路入り:NE5532P、MUSES8920、LM4562NA、AD827

オーディオ用として、どれも良く知られたオペアンプですので、説明は省きます。

それに私自身も今まで散々比較試聴していますので、大体の傾向は掴めています。

注意が必要なのは、高性能オペアンプは使い方により高周波で発振するという事です。

実際にオシロで出力波形を確認した所、案の定、LT1028では1MHz付近で凄い発振が見られました。これでは使い物になりません。出力にゾベル回路でもつければ良いかも知れませんが、そこまでして使うほどの魅力もありません。

LME49710も少し発振気味。他のオペアンプでも発振はしなくても、ノイズレベルに差があります。

ノイズレベルが最も少なかったのは「OPA627BP」でした。音質もワンランク上です。流石です。

しかし実は、今回使ったOPA627BPはおそらく中華製です。本物のマスクをコピーして作ったのではとの噂があります。

US製は、CDプレーヤーのIV変換回路に使用しています。10年位前にUSのRS componentsから購入した物なので、正規品で間違いないと思います。

このOPA627BPは、今やとんでもない価格ですね。ビックリします。中華製でも高い。

本物と中華製は外観で分かりますが、中華製でも充分良い音がします。

「OPA627BP」はオーディオ用として最高峰のオペアンプですね。これ以上のものを知りません。

 

<再生ヘッドからのシールドケーブル>

この製品には、PCOCC巻線コバルトアモルファス14層ラミネート・ヘッドが使われています。

このヘッドからのシールド線の先端に「ベルデン(Belden)のヴィンテージ線 導体Φ0.3mm径 1950年代」を1cmほど付けて、コネクタを使わず基板端子に直接半田付け。

ここの信号は微小なので、ちょっとした事でも音質に影響があります。

レコードプレーヤーのシェルリードに似た感覚です。

おまじないとして、一応銅箔を巻いておきました。

 

これで、再生音質的にはナカミチのエントリー・クラス(48x、58x)よりも優っているのではと思います。

過去にナカミチも使っていたのですが、音質的には柔らかいイメージでした。

私は、30年以上前に録り溜めた音源を聴くのが主目的なので、再生だけできればOKです。

1980年代の録音はNakamichiのデッキ、1990年代はこのTEACのデッキです。

おそらく、この先録音することは無いでしょう。

録り溜めたテープは結構な本数が有ります。

NHKスタジオでのライブ生配信を録音したもの、ピットインでのライブ音源、中野サンプラザでのライブ音源、ライブ・アンダー・スカイ音源など、どれもFM放送を録音したものです。市販されていない貴重な音源です。

 

いろんなテープを聴いていて気が付いたのですが、このTEAC V-5010で録音した物は音質が良いです。

デッキ自体の性能が良いのか、「Dolby HX Pro」が搭載されているからか、テープが良いのか分かりませんが、とにかく音が良いです。

 

 

 

こうやって、デジタルの音やレコードの音に飽きたら、カセットテープの音を聴くのも良いですね。違った感覚で聴く事が出来ます。懐かしくも有り新鮮でも有ります。

今、巷でも一部のマニアの間でカセットテープが人気の様で、先日TVで放送してましたが、関東地方にはカセットテープの専門店もある様ですね。

近所の中古店でも見かけましたが、2年位前よりも値段が高くなっていました。

 

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カセットデッキ(TEAC V-5010)の再レストア。~ メカ系 ~

2023-02-11 15:30:44 | カセットデッキ

ティアックのカセットデッキ V-5010は、6年くらい前に修理した後、一応動作して音が出る様になっていたのですが、残念ながら完璧ではなかった。

メカが時々不可解な動作をする事があったり、音質に関しても更に改善できるのではと思い、再度修理する事にしました。

過去の修理歴は、画面左サイドの「カテゴリー/カセットデッキ」タブより。

 

記事が長くなるので、メカ系と回路系(音質改良)に分けて投稿します。

今回はメカ系について

時々動作不具合と言うのは、再生スタート時に、「ヘッドベースが完全に上がり切らずに、途中で止まる事があり、テープがぞろぞろと送り出される」といった症状でした。巻き取っていないのですね。

そこで、再度メカを取り出しました。

結果から言えば、ヘッドベースが途中で止まる原因は、右側にあるカムで動作するスイッチ3個(写真の①)の接点不良でした。

キムワイプにエタノールを浸み込ませスイッチに挟み清掃しました。やはり接点が黒く汚れていました。

これで動作不具合が解消しました。下の写真はスイッチをシャーシから取り外しています。

因みに、反対側のテープポジション検出用スイッチはケースに入っているので大丈夫の様でした。

 

この際と思い、他の部分もメンテナンスしました。

以下、写真内の番号と項目番号は合わせてます。

①は先ほどのヘッドベースの状態検出スイッチの箇所です。

 

②ヘッドベースのグリスアップ

 ヘッドベースとメカベースの間のグリスアップを行いました。

 古い黒くなったグリスを除去して、新しいグリスを塗布。

 動作がスムーズになり、機械的な動作音も小さくなりました。気持ち良い動作。

 グリスは、タミヤの「Fグリス(フッ素樹脂配合)」を使いました。

 

③キャプスタンの研磨

 元々は、スリップ防止目的で数ミクロンオーダーのエッチング処理が施して有る様ですが、テープ裏面の磁性体にダメージを与えそうなので、紙やすり#2000で研磨後、研磨フィルム#6000で鏡面仕上げ。

 

④ピンチローラーの研磨

 ここも紙やすり#2000で研磨してゴム質を復元しました。

 

⑤ヘッドの研磨

 音質向上には、ここが一番効果がありました。

 研磨フィルム#6000で研磨後、同#10000で鏡面仕上げ。

 平面を出す必要があるので、板状の消しゴムに研磨フィルム(ピンク)を巻き付けて磨きました。

 MONOの消しゴムでも良いと思います。

 こんなに音質が変化するとは驚きでした!。

 アルコールで拭くだけでは、経年でこびり付いた汚れは取れないですね。

 テープとヘッドは密着させる事が重要!!!。接触面が荒れていてはダメですね。

 鏡面仕上げで、こんなに綺麗になりました。光沢があります。

 

ヤスリ関係はこちら。

 

 

再組み上げ。

カセットホルダーの右側のスプリングは、無くしてしまったので、クリップで手作りしました(銀色)。

なんとか上手く出来ました。これでイジェクト時にホルダーが気持ち良く開く様になりました。

 

これでメカ系はほぼ完璧と思うので、次は回路系です。

次回投稿まで暫くお待ちください。

 

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カセットテープにハマっています。

2020-06-15 11:51:22 | カセットデッキ

アナログの音は密度が濃い~。

今回のカセットデッキの改造を終えて、カセットテープに収められた音を聴いて、そう思った。

そもそも、このカセットデッキを修理した目的は、その昔に録り溜めた貴重な音源を再生するためで、新たに市販のミュージックテープを買うつもりなどは無かった。

しかし、その魅力にハマると、やはり気持ちを抑えきれず、中古のミュージックテープを買ってしまった。

 

それにしても、ナントの心地良い音!中低域に厚みがあります。

バラードを聴くと暖かみがあって哀愁のある音。ロックを聴くと迫力のある音。

ヒスノイズは仕方ないが、音楽が始まると殆ど気にならない。とにかく聴いていて楽しいし、疲れないのが良い。

 

現代の音って、何だろうなと思ってしまう。少し聴いたらすぐに飽きてしまう。

まぁ、これが近年のアーティストやヒット曲が長続きしない要因のひとつかも知れないですね。

デジタルは手軽、便利で良いけど、深みや面白みがないですね。それに長時間聴いていると疲れてしまい、ずっと聴いていたいと思わないのは、私だけでしょうか? 

 

何と言っても、レコーディングの原点はテープへの録音ですからね。

デジタルが登場する以前はマスター音源もテープでしたから。

レコードも結局はマスターテープからラッカー盤へのカッティングと言う作業が入りますからね。

テープであれば「Master Tape to Tape」です。イコライジングは入りますが。

カセットテープにこれだけの情報が収められていたとは驚きです。

デジタルの音を聴いた後にこのアナログの音を聴くと、なんとも「ほっこり」しますね。ノスタルジーを感じます。

心が癒され落ち着きます。安定感があります。「ホッと」します。

 

さて、今回購入したミュージックテープです。ロックばかりです。

左上から。

◎LED ZEPPELIN Ⅱ (US 1977年版)

レコードと曲順が違う。テープへの収録時間をA面とB面で合わせるため?。

これがまさしく若い時にリアルタイムで聴いた音です。やっと当時の音に出会えました。

何度聴いたことか。

 

◎LED ZEPPELIN Ⅳ (US 1977版)

音が厚い、熱い!!! これだ! 私の45年前の記憶にある音。あの初めて聴いた時の衝撃が蘇った。

現代のデジタルの音と聴き比べると、デジタルの音は、なんとも薄っぺらい。

特にボンゾのドラムの重さが違います。ジョン・ポール・ジョーンズのベースも地を這うように重いです。

これを聴いてからデジタルのリマスター盤を聴くと音がスカスカです。

 

◎DEEPEST PURPLE / DEEP PURPLE (US 1980年版)

Abbey Road StudioでMasterしたものです。LPでは片面30分に収める技術を使ったそうです。

少し残念な事に、経年変化でカセットテープケースが歪んでいるのか?早送り、巻き戻しで重くなる所があります。

でも、音は厚みがあって雰囲気たっぷりです。

珍しい曲やアレンジの違うバージョンが収められています。

「Speed King」ではジョンロードのオルガンソロから始まります。レコードとはまた違う。

LP(UKオリジナル盤)ではリッチー・ブラックモアのジャムの後にジョンロードのハモンドオルガンソロ。

国内盤ではいきなり始まる。

 

これらミュージックテープはレコードとはまた違う音質です。違う感覚で楽しめます。

レコードは音抜けが良くて気持ちが良いのですが、テープは音に厚みが有りって密度も濃いです。音がギッシリと詰まっている感じです。 油絵と水彩画の違い?

やっぱりハードロックはアナログに限りますね。岩の様に固くて厚い音が迫ってきます。力強く重厚でエネルギーを感じます。

 

そりゃ、デジタルはSNも良いし、音は繊細だし、左右の分離だって良いのですが、よそゆきの上品な音。対してアナログは周波数レンジが狭く、SNも悪く、繊細さにも欠けますが、しかし音楽全体のエネルギー感が違います。やっぱロックはこうでなきゃ。汗が飛んできそうです。

特に小音量で聴いた時に、その違いが顕著です。

デジタルを小音量で聴くと何だかチャラチャラ鳴っています。アナログは小音量でもエネルギーを感じます。ここが大きな違いでしょう。

 

もっと、他のテープも欲しくなりましたが、市場が小さすぎて、これと思うようなものが出てこない。

見つけた時に買わなきゃ、カセットテープは絶滅危惧種です。財布には優しいけど。

まあ、買い手もコアなマニアしか居ないでしょうけど。

 

さあ、カセットデッキ弄りやカセットテープもここまで! 

約1か月半遊ぶ事が出来ました。良い勉強になりました。そろそろ抜け出さなくては。。。

 

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テープパス・チェッカーで走行状態を確認してみた。

2020-06-10 14:40:31 | カセットデッキ

ちょっと気になったので、以前紹介したカセットデッキ・メンテ・グッズのひとつ「テープパス・チェッカー」を使ってテープの走行状態を確認してみました。折角有る物は使わなくては。。。

確認するところは、

 ①テープとヘッドの当たり具合。位置や傾き、密着度。

 ②ピンチローラーでのテープ送り具合。

 ③テープの張り。デュアル・キャプスタンなので僅かにテンションが掛かる筈。

です。

走行状態を写真に撮りました。

これを見ると、

 ①問題なさそう。

  極端な場合は、ヘッド横のガイド部分でテープにシワが寄ることがある。

 ②、③も問題なさそう。

  ここに問題があると、テープの光の反射が直線ではなく斜めになったり歪んだりする。

 

これでテープの走行状態に問題が無い事も確認できた。ひと安心。

 

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