今年も半分が過ぎようとしていますが、実は今年に入ってからずっと、真空管プリアンプのカソード・パスコンを色々と交換して、音質を比較しながら、自分の好みの音を探していました。
その経過と比較試聴の結果を以下に記載しますので、少しでも参考になればと思います。
但し、これはあくまでも私のアンプに搭載した場合の個人的な感想ですので、ご意見、ご指摘、追加があれば、遠慮なくコメントをお願いします。
<経過>
カップリングコンデンサを換装して比較していたところ、カソード・パスコンでも音が変化するのではと思い、そう言えば、以前購入して未評価だったROE製のラジアルタイプの電解コンデンサ1000uF/40Vが手元に有る事を思い出しました。
そこで、元々スプラグのATOMが搭載されていたところに、試しに使ってみました。
結果は、しばらくエージング後、やはり音質は変わりました。カップリングコンデンサを交換するのと同じくらい変化しました。
<使用箇所と評価条件>
念のために使用箇所は、ここです。
LINEアンプの場合 EQアンプの場合
最初は、LINEアンプで色々と試して、それからEQ(イコライザ)アンプにも適用し展開しましたが、ほぼ同じ傾向、結果が得られました。
LINEアンプで試した理由は、いずれの電解コンデンサもエージングに時間を要し、その後でないと正しい評価が出来ないためです。
LINEアンプであれば、CDをリピートで再生しておけば良いからです。その点、レコードはかけ流しが出来ません。
エージングは、約100時間くらい実施しました。そのため、ひとつひとつのコンデンサの評価に時間が掛かりました。
尚、コンデンサの容量的には、ここのカソードパスコンは、100uF以上あれば問題が無い様です。
<評価結果>
では、さっそく評価結果です。 あくまでも私感です。
①スプラグATOM
元々搭載されていたコンデンサです。有名なスプラグの電解コンデンサです。
これでスプラグを一躍有名にしたとも言われています。現在はニッケミがOEM生産?とも聞きました。ビシェイでしょう?
スプラグ生産の旧品は入手が難しいです。
カソードパスコンは径の細い100uF/100Vの方です。上のATOMは平滑用電解コン。
音質は、太くて味のある暖かみのある音です。
②日ケミ
KMG 100uF/50V
写真は無いのですが、皆さんよく使われるニッケミの電解コンです。
結果は、大人しくてフラットでハイファイな音。
クラシックとか繊細な音楽を聴くには良いかも知れませんが、私の様にロックやジャズを聴くには迫力に欠けます。
③OSコン(導電性高分子固体コンデンサ)
パナソニック製470uF/16Vを使いました。
熱に弱いので、写真の様に放熱しながら半田付けを行いました。
音質は、極めてフラット。高性能な感じ。クールで優等生の感じですね。面白味には欠けます。
③ROE(ヴィンテージ品)ラジアル
以前購入して未使用だった1000uF/40Vが部品箱にありました。ドイツ製。金色です。
容量が大きすぎかも知れませんが、大は小を兼ねると言うことで。
結果は、音の輪郭がはっきりしていて、情報量も多いです。
エージングと共に抜けが良くなり明るい音。ロックには良い感じです。
④ROE(ヴィンテージ品)アキシャル
470uF/40V。
ここにラジアルは合わないので、同タイプのアキシャル品を購入しテスト。
QUAD製のアンプによく使われていたそうです。ヴィンテージ品。
搭載後の見た目も良い感じになりました。
結果は、ラジアルよりは明るさが少し後退して良い感じ。
エージングが進むにつれて抜けが良くなる。元気な音。
エージングの初期段階では音に靄が掛ったり晴れたりします。
この現象が、時差で片側づつ起きるので左右の音バランスが悪くなりエージング中の音の変化がわかります。
ヴィンテージ品なので気長にエージングするしかないですが、でも音質は良い感じです。
⑤フィリップス
220uF/25V 小ぶりな青いやつです。
結果は、音の分解能が良くないです。少し音が篭る傾向。音場が狭い。がっしりと固い感じの音です。
⑥FRACO
470uF/16V Germany(ドイツ)製です。ヨーロッパ系のビンテージ品によく使われている電解コンデンサです。
結果は、2週間使ってみましたが、ROEと同じドイツ製でも低音に籠りが残ります。
⑦Spurage ATOM
200uF/50V 新たに購入して試してみました。細身の黒いやつ。
結果は、ちょっとざらついた感じ。エージングで良くなるのかもしれませんが、ATOMの音になるのかな?
⑧Mallory
マロリー製150uF/35V。ロックとかには良さそうと、お店で勧められて購入。かなり古そう。
結果は、使いはじめはレンジも広く良いかな?と思ったが、エージングが進むにつれてレンジが狭くなりカマボコ状の音に。
ゴツゴツと団子状で篭る音になってきた。確かに今まであまり聴いた事の無い音。古めかしい音で聴かせる。
決してハイファイでは無い。1週間でさようなら。
⑨東信TK電解コンデンサ
これも音が良いと言うことで有名な日本製の電解コンデンサ。220uF/16V。
結果は、レンジは広いが、高域がちょっと突き刺さるかな?エージングに期待。
とても切れが良く明るい音。現代的でスッキリした音。
ワイドレンジで、且つ、このボディからは想像が出来ないダイナミックな音を聴かせる。
暫く聴いたが、ちょっと煩くドライな感じで深味がない。クラシック系には良いかも。
70年代のロックには、ちょっとどうかな?って感じです。
⑩Siemens
GPF 100uF/25V ビンテージ品
結果は、ビンテージらしく味のある音です。東信とは真反対の音。ギターの音がギターっぽい。
ビンテージ品なので、暫くエージングが必要です。
エージング後は、音の粒立ち、分離が良く、密度が濃い。塊にならない。高域も綺麗。
あまりにも分離が良すぎてバラバラになって音楽にならない感じもありますがが、適度かな。
音が立体的になり遠近感がでます。低域のバスドラ、ベースの音も適度に締まってます。
音の余韻を感じるのは、倍音が多いためでしょうか?
ROEに近い感じの音で、ROEよりも低域が締まっています。
ドイツ系のビンテージ部品はやはり良いのかな?
エージングが進めると、高域の少し賑やかな部分が落ち着いてきました。
⑪ニチコン製Finegold
試しにニチコンのファインゴールドも使ってみました。
結果は、Siemensを聴いてからでは、全ての音が近くで鳴っている感じです。
<まとめ>
私の好みでは、ROE製470uF/40Vが、音の抜け、音の広がり、音の生々しさでベストでした。
結局、今は、ラインアンプ部、EQアンプ共に、このROE製のビンテージ品を使っています。
ハーメチック・シールになっているので、容量抜けも問題なさそうです。
それにしても、コンデンサ関係もスプラーグ製ビタミンQ、ROE製など、ビンテージ部品の使用箇所が増えました。
抵抗も、全てアーレン・ブラッドレー(A&B)製です。