母の日

2006-05-14 08:29:45 | Weblog
     豆

 この年になっても母の強さを感じている。
 父90歳、母82歳
 父は3年前に嚥下障害による肺炎から、訪問診療、訪問看護を受けている。
 一日数回の酸素吸引、吸痰は家族の仕事となる。
 家族といっても今同居しているのは、母と義姉、義姉は近くに住む娘の病(鬱)
 の自虐行動を心配して一週間のうち4日は姪の家で過ごしている。
 私が実家へ行けるのは月1回程度。そのたび母は「頑張るよ、父さんは私が看る」と
 言う。本来ならば兄亡き後は自分が入って面倒を見なければならないが、複雑な
 家族構成になると義姉の行き場所をも考えなければならない。
 父は毎晩「今日もありがとう。明日もお願いします」と言って眠るそうだ。
 母はその言葉で頑張りぬこうと決めたのだろう。
 今、母が居なくなったら、私こそ一番後悔する。それが判っていて自分がはがゆい。

    花菖蒲母のぬくみの裁ち鋏
    夕焼けや母には母の流行り歌
    母の下駄片減り癖に桐の花
    白玉や母の働く音が好き
    蝶結び母に習ひて白靴に
    鬱に居る母の手に置く木の実かな
    花りんご父母の手を引く出湯旅
    更衣母の手擦れの古行李
    厨まだ母の城てふ梅雨ごもり
    白地着て一日母のよそよそし
    母といて寡黙なる日の菊匂ふ
    母のバス行ってしまいぬ烏瓜
    茸飯母の笑みほどよく炊けり
    母の文ひらがな多し泥大根
コメント
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