踊る小児科医のblog

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週刊ポストの受動喫煙記事に対する日本禁煙学会の見解

2006年11月10日 | 禁煙・防煙
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週刊ポスト2006年11/17号
<衝撃データを一挙公開>
「受動喫煙は子供の発がん率を低下させる!」
成人男女も「影響なし」
――WHOが封印した7年間の研究成果
駅や病院、学校などの公共スペースのほか、オフィスや新幹線からも次々と喫煙スペースが消え、愛煙家の肩身は狭くなるばかり。「受動喫煙で健康を害されている」というのが嫌煙家たちの決まり文句だが、なんと、受動喫煙が発がん率を低下させるとの調査結果が見つかった。禁煙・分煙ブームに一石を投じる衝撃データである。
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今週発売の週刊ポストに上記のようなとんでもない記事が掲載されていて問題になっているようですが、これについては既にネット上で迅速な対応がなされて、日本禁煙学会から見解が発表されています。(下記に全文を転載)
記者会見も11/16に行われます。

私は記事も元論文も読んでいないのですが、

リヴァイアさん、日々のわざ(作家・川端裕人氏のブログ)
の中で津田敏秀先生が詳しくコメントしていますので参考にしてください。
2006.11.06 受動喫煙は子どもの発ガンリスクを減らす(追記あり)
2006.11.08 週刊ポストの受動喫煙記事に対するコメント1
2006.11.08 週刊ポストの受動喫煙記事に対するコメント2(オッズ比をめぐって)

上記のコメントの中でワイネフさんが、
・元論文は公開されている
・多くの研究の中では自然に起こりうる話(「衝撃データ」などではない)
・WHOでもすでに検証済み
と簡潔にまとめてくれていますが、

津田先生によると、
「結論から言うと、岐阜大学の高岡助教授の読み間違いですね。ご本人の疫学知識はほとんどゼロに近く、よくまあ、これで疫学論文の評価をするなという感じです」
とのこと。

また、この時期にこんなトンデモ記事が出てきたのも、喫煙率低下目標のパブコメで危機感を強めたJT側の巻き返しではないかと推測されています。もちろん証拠はありませんが。

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受動喫煙の害に関する日本禁煙学会の見解
            2006年11月8日

 受動喫煙の健康影響に関する疫学調査は、強力なバックグラウンドノイズとリスクの過少評価をもたらす様々なバイアスに覆い隠されている真の関連を見つけだす作業であり、1件の研究の結果だけで関連の存在が否定されたり肯定されたりする浅薄なものではない。受動喫煙が非喫煙者に肺ガンを起こすという知見は多面的な証拠を総合してみちびきだされた結論である。

 すなわち、(1) 能動喫煙と肺ガンの確固たる関連、(2) 喫煙量には無発ガン閾値はないこと、(3) 主流煙と質的に同じ発ガン物質が副流煙に含まれている、(4) 生体マーカーの測定により発ガン成分が非喫煙者に侵入していることの証明、(5) 環境タバコ煙がDNA損傷をもたらすこと、(6) 動物において発ガン実験が成功している、(7) 疫学的関連の諸条件(成績の一致性・特異性・最高度曝露群での関連の存在・量反応関係など)が満たされていることなどを総合的に評価した証拠の重み解析で受動喫煙と肺ガンが確実な関連を持つと判断されるに至ったのである。

 以上を根拠として、米国EPAは環境タバコ煙(受動喫煙)をヒトに対する発ガン性が証明されたA群発ガン物質(group A carcinogen)と認定した。A群発ガン物質にはベンゼン・アスベスト・ラドンなど10数種類の物質が含まれるが、一般の社会生活レベルの曝露でガンのリスクが明らかに増加することが証明された発ガン物質は環境タバコ煙以外にない。

→ 参考:受動喫煙と肺ガンに関する最近の知見-WHOが間接喫煙のリスクを否定したという誤報を正す-
深川市立総合病院内科 松崎道幸(脱稿1998年2月26日)