踊る小児科医のblog

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中橋勇一さんへの最後の手紙 原発震災後の青森についてお考えを伺いたかったのに…

2011年08月11日 | 東日本大震災・原発事故
(実際に出した手紙ではなくお別れ会への欠席の返事です)
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中橋勇一さんのご冥福を心からお祈りいたします

マニフェストラウンジのメンバーでもなかったのに、いつもご案内いただきありがとうございました。
中橋さんを送る会には是非とも駆けつけて出席したいと思いましたが、八戸からでは時間的にも難しく、また当日別の用件も入っておりましたので、残念ながら欠席させていただきます。

中橋さんと直接お会いしてお話しした機会は、八戸で公開討論会を開催した二度ほどしかありませんでしたが、その後もメールやブログ、年賀状などでご意見やご連絡をいただいており、仲間の一人として扱っていただいたことに感謝しております。

私自身がこれまで取り組んできたこととして、禁煙活動と原発・核燃問題の2つがありましたが、いずれも多数の国民の生き死にに関わる重大な問題であるにも関わらず、一般的な市民活動などからも距離を置かれて、一部の活動家による動きといった扱いを受けてきたように感じていました。

この2つの問題は、巨大なマネーを背景に政官財学とメディアが強固な壁をつくり、子育て、教育、文化、スポーツ、地域づくりなどの市民活動の隅々にまで「社会貢献活動」と称してお金をばらまき、規制や反対運動を封じ込めてきたという構図も全く同じものでした。
そして、今回このような形で破綻を迎えたことについて、自分自身でも厳しく受け止めております。

以前に一度だけ、中橋さんに対して、県が作成した様々な指標の中の喫煙に関する項目についてメールで意見を述べさせていただいたことがありました。
そのお返事の中で、以前から喫煙されていたことについて触れておられましたが、咽頭がんという喫煙と非常に関連の深い病気によって、62歳という若さで命を落とされたことが残念でなりません。

いま、国内で毎年喫煙により10-20万人、受動喫煙でも1-2万人もの人が亡くなっており、その中には幼い子どもや、生まれてくるはずだった胎児も含まれています。毎年、大震災が何回も起こっている程の人の命が失われているにも関わらず、この国の政府は国際条約で義務づけられた受動喫煙防止法の制定すら行っておらず、時々刻々とその犠牲者は増え続けているのです。

喫煙者の平均寿命は10年程度短くなりますので、若くして亡くなった方であれば、本来なら20年あるいは30年も長く生きて活躍し、ご家族と暮らすことができたはずです。

今回の未曾有の震災と原発事故という事態の中で、青森県および青森県民が今後どのような生き方、考え方で前に進んでいけばいいのかという重大問題について、県知事はもとより県内のオピニオンリーダーや各方面で活躍する方々からの情報発信や具体的な動きがほとんど伝わってきておりません。

中橋さんが震災後の日本や青森県に対して何かご意見を持たれていたのか、伺う機会がなかったことは残念に思います。
中橋さんの教えを受け、一緒に活動されてきた皆様方には、是非とも中橋さんのご遺志を継いで、それぞれのフィールドで新しい青森県の再生のために、何よりも子どもたちの未来のためにご活躍いただき、ご指導いただければと希望いたします。

いま、全国で多くの人たちが自ら疑問に感じたことについて調べ、学び、一緒に考え、行動するという動きが広がっています。
青森県内でも、ソーシャルメディア(Facebookなど)を通じて一人一人がつながり、議論し、現実の動きに結びつけていくことができないかと考え、準備を進めているところです。
皆様方にも是非ともご参加いただき、ご意見をいただければ幸いです。
今後ともよろしくお願いいたします。

2011年8月11日

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ポスト管は1)脱原発つぶし・東電救済 2)復興・消費増税 3)社会保障費削減 最低か最悪かの選択?

2011年08月05日 | 東日本大震災・原発事故
● 最低か最悪か 「ポスト管」政局を憂う (この文章は某所に掲載予定の原稿の一部です)

 ここで政局のゴタゴタついて触れるつもりはありません。医師・歯科医師の間だけでなく、国民一人一人に考え方の違いがあるのも当然のことです。しかし、原発震災という過酷な現実を受けて首相が交代するという重大な局面に、有権者である国民が何の影響力も行使できない状況にあることを憂えています。

 現状で、次の政権が民主党単独になるか大連立になるかわかりませんが、このまま何も声を上げずに永田町任せにしていたら、1)脱原発つぶし・原発延命・東電救済、2)復興増税・消費増税、3)社会保障費削減という路線になる可能性が高いことは、多くの国民が感じ取っているところです。

 かと言って、民主・自民の二大政党が脱原発を望む国民の受け皿になり得ない状況では、脱原発を単独の争点とした総選挙は望ましくないし、実現する可能性も低いでしょう。

 原発事故直後の最も大切な時期に、事故の深刻な状況を隠したまま「安全」情報ばかりたれ流しにして、放射能拡散情報や汚染状況を隠蔽し、国民、特に子どもの避難を妨げ不要な被曝を強要した菅首相や枝野官房長官の責任は重く、辞職は当然であり、いずれは司法の場で裁かれるべきと考えています。

 しかし、国民を見捨てた「最低」首相の後釜が、これまで原発・核燃推進路線を暴走させ、福島の人たちの故郷を奪って苦境に陥らせたことへの深刻な反省も謝罪もないまま、原発再稼働へ突き進んでいる自民党や民主党新自由主義者の「最悪」政権になることだけは何としても避けたい。マスコミも「原発大本営報道」への反省もなく、菅おろし政局に加担しているだけで、問題意識が全く感じられません。

 いま、脱原発を訴える人の一部で菅総理を最後まで支えようという声が上がっていますが、これは首相交代までに脱原発・再生可能エネルギー路線への転換をできるだけ進めておきたいという願いからくるもので、決して管政権を支持したり再選を願うものではありません。

「第三の敗戦」という言葉が使われています。子どもや孫の世代に対して、いま35歳以上(チェルノブイリのとき10歳以上)の大人は、たとえこれまで原発や核燃サイクル政策に反対してきたからと言って、現在の深刻な汚染と将来への重い負担を残してしまった責任を免れることはできません。

 震災後の政治やメディア、国民の言動などを毎日見続けていると、希望よりも悲観の方に気持ちが傾いていくことは否めません。しかし、いま動かなくて一体いつ動くのでしょうか。

 この原稿を書いている時点で、首相退陣の時期や次期首相候補、政権構想、主要政策などの姿は全く見えてきておりませんが、この夏から秋にかけて、子どもたちが将来に希望を持てる社会に生まれ変わることができるかどうか、政治家だけでなく、国民一人一人が問われている重要な局面にあることは間違いありません。(2011.8.5記)

(続く)