ルーブル美術館。開館前の行列に並ぶ。9時開館のはずだが、今日はなぜか10:00から10:30の間と言われ、実際には10:20頃に列が動き出した。パスを持っているので開場すれば、そのまま展示室へ進むことができる。今日はこのまま17:45の閉館までルーブルで過ごした。
ルーブルは巨大な美術館なので、楽しみ方は無限大である。自分の気に入った区画でぼんやり過ごすこともできるだろうし、気に入った作品を眺め続けるというのも面白いかもしれないし、終日ひたすら歩き回るということだってできるだろう。ただ、あまりに有名であるがゆえに、そこに集まる人々は必ずしも美術鑑賞を目的としたものとばかりは言えなくなる。街を歩く時は緊張していても美術館内ではその緊張が緩みがちになるのは人情だし、それは誰しも容易に想像できることである。当然、その緊張の緩みに注目する人も少なくないということだ。館内には用心を呼びかける表示が動線の要所にあり、ときどき館内放送もある。
今日はRichelieuの入口から入って、Cour Puget、Cour Khorsabadを経てSullyへとメソポタミアや古代イランの彫像などを眺めるところから回り始めた。上下動は主にRichelieuのエスカレーターを利用し、中世の工芸品、ルネサンスの工芸、ロカイユ様式時代、新古典主義、エジプト、ギリシャ陶磁器、テラコッタなど午前中は絵画よりも立体系のものを中心に見物。昼食はRichelieuにあるカフェでいただく。私はキッシュ・ド・ロレーヌ、連れはクラブサンド。
昼食後はDenonを中心に見物。せっかくなので、モナリザ、ニケ、ミロのヴィーナスといった目玉は押さえ、絵画の大作を一通り見て回る。さすがに前回訪れたときのような初対面の感動は無いが、アングルの「リヴィエール嬢」にはドキドキするし、「メデューサ号」にはその計算され尽くしたかのような精緻な画面に身動きがとれなくなるし、ナポレオンには心が躍る。前回はそれほど注目しなかったが、今回は感心して眺めたのはシャルダンだ。何がどうというのではないのだが、画面の落ち着きがいい塩梅に心に染みてくる感じがするのである。そういう意味ではミレーやコローもいい。
さすがに開場から閉場まで過ごすと疲れる。しかし、こういう疲れこそ「心地よい疲れ」というのだろう。