オルセー美術館、プチ・パレ、カルナヴァレ博物館を見学。パリの美術館には火曜日休館のところが多いので、今日は選択肢が限られる。出かける前から行きたいと思っていたところがたくさんあったので、選択肢が限られるというのは今の自分には有り難いことである。
オルセーには開館時間15分後くらいに到着したが入口前には行列ができていた。尤も、これはセキュリティチェックの所為で、入館までそれほど時間は要しない。立ち止まることなく館内へ吸い込まれる。前回2008年に訪れた後、大改装があり、改装中は日本にも作品が回ってきて比較的規模の大きな「オルセー美術館展」が開催されていた。改装前後を詳細に比較できるほど前回のことを記憶しているわけではないのだが、5階の動線が違う気がした。現在は企画展示室になっているところにアンリ・ルソー、スーラ、ゴーギャンなどの作品が並んでいた気がする。今は以前よりも印象派の展示が前面に押し出されている印象だ。前にも書いた記憶があるが、美術館という場所を頻繁に訪れるようになったのは陶芸を始めてからのことなので、ここ8年ほどでしかない。それでも興味関心というものはけっこう大きく変化していて、今は所謂「印象派」にそれほど興味は感じなくなっている。連れも、そもそも印象派には関心が薄いようなので、5階の展示室はさっと通り抜けてしまった。通り抜けた後にある建物の時計の裏側からの風景が面白かった。誰もが同じようなことを考えるようで、ここは展示作品に負けず劣らず人気を集めているようだ。もともとこの建物は駅なので、作った人たちは時計の裏側が注目されるとは思っていなかっただろう。そういう不作為で生まれたものに値打ちがあるように思うのである。よく自分で「芸術家」だの「アーチスト」だのと名乗る人がいるらしいが、一体どういう神経をしているのだろうかと常々疑問に思っている。
プティ・パレも立派な美術館なのだが、ルーブルやオルセーの後だと小ぢんまりとしたものに感じられてしまう。ここの中庭に面したカフェで昼食をいただく。向いのグラン・パレとセットで1900年のパリ万博会場のひとつとして建てられたものだ。展示されている作品よりも、建物やモザイクを敷き詰めた床に目が行ってしまう。グラン・パレのほうは企画展の端境期であったが、10月から始まる北斎展の大きなポスターが眼を引いた。
カルナヴァレ博物館はこれまで回ってきた美術館とは違って、パリの歴史にまつわる雑多なものが集まっている。先史時代の遺跡の出土品もあれば、ナポレオン三世時代のパリ大改造で取り壊された建物のファザードや看板もあり、フランス革命の資料もある。パリの街の様子を描いた多くの絵画も展示されており、そのなかには藤田嗣治やピカソの作品もある。中庭は菜園になっていて、野菜や花を育てている。「パリの歴史」というテーマがあるだけで、展示品は種々雑多だ。その雑多さに圧倒されてしまう。