万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

商品市場に相場安定化システムを

2008年01月04日 20時30分16秒 | 国際経済
原油が一時1バレル100.09ドル、史上最高値を更新(ロイター) - goo ニュース

 市場経済とは、原則的には政府介入を嫌うものです。しかしながら、市場秩序を大きく乱すような行為に対しては、中央銀行の金融政策や競争当局による競争政策と同様に、ある程度の政府介入が許されるのではないか、と思うのです。

 特に、最近の原油価格や穀物価格の投機による値上がりは、全般的な物価高を招き、人々の生活を脅かすに至っております。投機行為は、市場のメカニズムから見ますと何ら経済に益しないのですが、これまでのところ、何らの手は打たれていません。証券市場でさえ、度重なるバブルや恐慌の経験から、株価の乱高下を押さえるためのシステムを導入されているのですから、ましてやより影響の広範な商品市場にこそ、価格を安定化させるための抑制システムを設けるべきではないか、と思うのです。例えば、実勢相場との乖離指標を定めて、ある一定の限度を超えて価格が上昇した場合には、取引中止とする、など、幾つかの方法があるはずです。

 このまま手をこまねいて見ていますと、市場経済自体が崩壊してしまうかもしれません。少なくとも、経済活動と人類の生存に不可欠となる原油と穀物市場には、抑制システムは必要なのではないでしょうか。

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