万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

排出権原理主義の恐怖

2008年01月11日 20時18分23秒 | 国際政治
地球環境問題で我々ができることとは? 二酸化炭素は本当に地球温暖化の原因なのか?(ニュース畑) - goo ニュース

 排出権取引は、温暖化ガス削減のための唯一の効果的な方法なのでしょうか?排出権取引の有効性については、既に、排出源の移転に過ぎないとか、排出権取引を狙った利権がらみ、という指摘もあります。

 そもそも、ある目的を達成しようとする場合、方法や政策が複数あることは当然のことです。温暖化ガスには、二酸化炭素のみならず、格段に温暖化効果の高いメタンやフロンなどもあり、また、発生過程も産業や製造工程によって異なっています。さらには、排出規制の他にも、植林や森林の保護など、温暖化ガスの吸収促進策もあります。ですから、対象や原因に合わせて、複数の方法を同時に追求する方が効果的である政策領域でもあるのです。

 現実に、有効な方法や政策が他にあるならば、敢えて、欠陥の多い排出権取引にこだわり、無理無理に排出権取引を介在させる理由はないのではないか、と思うのです。”始めに排出権取引ありき”、という姿勢は、原理主義的ですらあります。排出権取引の欠点を考えますと、むしろ、地球温暖化対策には、選択肢の広い、より柔軟な制度を構築した方がよいのではないでしょうか。

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