万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

洗脳に適した危ない年頃

2008年01月20日 18時28分28秒 | 社会
ブット氏暗殺の容疑者逮捕か=15歳の少年―パキスタン(時事通信) - goo ニュース

 ブット元首相の暗殺事件の容疑者として、15歳の少年が容疑者として逮捕されたと言います。逮捕された少年の年齢が15歳であることから、この実行犯の組織が、青少年に洗脳教育を施しているのでしょう。

 実のところ、10代の数年間は、最も洗脳され易い年頃です。ナチスがヒトラー・ユーゲントを育て、共産党が紅衛兵を組織したように、人間を狂信的な思想に染め上げるには、この時期が最も適しているのです。誰もが、この時期に、何かに”かぶれた”経験はあるはずです。心理学的な説明は専門家に譲るとしましても、青年期を迎えて強まる自我意識が、何か絶対性を持った集団への帰属によって満たされる時、青少年は、いとも簡単にこの集団に自己を捨ててしまうのです。これは、集団のメンバーであることが、自らに無限の力を与えているように思える錯覚なのかもしれません。つまり、自己肥大化の願望と絶対的な組織という、一見、相矛盾する個と集団が一体化するとき、狂信的な集団が生まれやすいのです(ヘーゲルは人間のこの側面を描いたのかも・・・)。

 私達は、この年頃の青少年の心の持ちように充分に配慮しながら、暗殺に加担するような狂信者が生まれないよう、教育というものに臨むべきなのでしょう。

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