万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

本当は怖い政治的参入規制

2008年01月28日 18時22分24秒 | ヨーロッパ
反プーチンの元首相の出馬認めず 支持署名の一部無効と選管(共同通信) - goo ニュース

 ロシアでは、国民が参政権を持ち、複数の政党が存在し、かつ、民主的な選挙制度も整備されていますので、表面だけを眺めれば、国民の政治的自由が、制度的に保障されているように見えます。しかしながら、法律上の自由と実質的な自由との間には、かなりの隔たりがあるようなのです。

 何故ならば、形式的な民主的制度は、その運営を恣意的に歪めることによって、簡単にその意義を失わせることができるからです。例えば、ロシアの場合には、立候補者を受け付ける中央選管が、不偏不党の立場を維持できず、時の政権の影響下に置かれたために、大きく民主主義の原則から外れてしまいました。立候補者の登録の段階で、政治的な排除が起きてしまいますと(参入規制)、もはや、その後で、如何に”民主的”な選挙が実施されようとも、結果は予め決まってしまうのです。これでは、民主的制度は、まったく機能しないに等しくなります。

 ロシアが、ソ連時代から見続けている全体主義の悪夢から覚めるのは、一体、何時のことになるのでしょうか。


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