万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国科学院の”質より量”のランキング?

2008年01月30日 18時10分23秒 | 国際政治
中国の総合国力は世界3位 中国科学院「30年に日本抜く」(共同通信) - goo ニュース

 13億の人口に加えて、年率で10%前後という驚異的な経済成長を遂げてきた中国は、現在のペースが維持されるとすれば、2030年には、世界第二位の経済力に届きそうです。しかしながら、このランキング、あくまでも”量”として計られた数値に過ぎないのではないでしょうか。

 国力の測定は、評価対象にどのような項目を含めるかによって大きく違ってきます。ですから、本当のことを言いますと、国力の正確な測定は不可能なことです。例えば、数字における経済レベルと、国民が実感している豊かさとは異なりますし、また、中国が、政治や社会の側面において政府統制が厳しいことを考慮しますと、経済的な繁栄と国民の満足度は、必ずしもイコールではありません。13億の国民が、先進国と同じような自由や権利を享受するまでには、はるかに長い年月を要するかもしれないのです。

 数値上の国際比較のランキングに一喜一憂するよりも、自由と民主主義を手にしている国家の国民は、より良き国家を目指すこと、つまり”質”の向上に努めることにこそ大事と思うのです。 



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