万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国の市場開放の限界

2008年01月10日 18時32分41秒 | アジア
地球儀に台湾島と表記 学研「中国の指示」、販売中止(共同通信) - goo ニュース

 年末に、当の音声ガイド付き地球儀を購入しようかと迷いましたので、事の顛末に少しばかり驚くのですが、この事件からは、中国の市場開放の限界を見てとることができます。

 近年の急激な経済成長の陰に隠れて、しばしば中国が共産主義国家である事実を忘れがちです。しかしながら、中国では、まだまだ政治的な言論統制が続いているのです。このため、たとえ外国企業の製品であろうとも、わずかなりとも政府の公式見解や政策方針に反する表現があれば、中国政府は、公然と圧力をかけてくるのです。中国市場にあっては、経済活動の自由の幅は、他の自由主義諸国と比較して狭いと言えましょう。一党独裁にあっては、多様な意見は許されないのです。

 このことは、中国市場に進出する企業にとりましてはリスクとなりますし、中国市場の限界でもあります。今後、中国は、自国の経済成長を維持するために、外国企業に妥協するのでしょうか、それとも、政治的立場を優先して、市場に対する政府介入を継続してゆくのでしょうか。

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