万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

第三次国共合作の亡霊が蘇る日

2008年01月13日 18時43分19秒 | アジア
台湾立法院選、野党国民党が圧勝 与党、総統選に打撃(朝日新聞) - goo ニュース

 台湾独立国連盟ウェブサイトの記事によりますと、1962年に、大陸の中共政府と台湾の国民党政府は、密かに第三次国共合作を結び、後は公表を待つばかりの段階にあったと言います。真偽のほどはわかりませんが、同年8月12日に、ロンドン・オブザーバーの記者、ブラッドウォース(Dennis Bloodworth)氏は、以下の条件で国共合作が合意されたことを伝えたそうです。

1.蒋介石の存命中は国共双方とも攻撃をさしひかえる。

2.蒋介石の死後、台湾は国府の統冶下におかれるが、チベットと同様な中共政府下の自治区になる。

3.約10年ないし20年後に独立国となるかあるいは中国本土に帰属するかを決める住民投票を実施する。

4.国府が占有している金門・馬祖などの沿岸諸島を攻撃せず、金門島とこれに面する中国本土の厦門を一つの緩衡行政地区とし、本土と台湾との通行の自由を保証する。

 果たして、この国共の密約は本当に存在したのでしょうか。そうして、国民党が、議会選挙に続いて総統選挙にも勝利をおさめた場合には、国共合作の合意は、蘇るのでしょうか。1962年当時の合意でも、条件の3に住民投票の実施が明記されているとはいえ、一たび共産化しますと、台湾の人々が、自由に政治的な選択の意志を表明できるとも思えません。今回の選挙結果の報に接し、自由化と民主化を進めてきた台湾の行方を心配せざるを得ないのです。

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