万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

投機経済よ、さようなら

2008年01月05日 19時46分39秒 | 国際経済
ニュースを斬る 2008年を斬る:「不安の1年」と対峙せよ 世界的パラダイム転換の現実から逃げるな!(日経ビジネスオンライン) - goo ニュース

 中央銀行の基本的な役割とは、通貨価値の安定、すなわち、物価の安定を実現することです。インフレやデフレに対しては、政策金利や公開オペなどの金融政策を駆使して対処することができるのですが、商品市場における投機を原因とした価格の高騰には、打つ手がないのです。

 このことは、不動産という一部の分野における急激な価格上昇が破滅的な経済危機をもたらした日本国のバブル崩壊の失敗に類似した現象が、世界規模で起きる可能性を示唆しています。しかも、高騰している商品が、物価の大もとともなる原油や穀物ということになりますと、その影響力は、計り知れないものとなりましょう。この二つの基本的な商品の高騰と欠乏は、古今東西を問わず、政治の不安定化をも招いてきましたのです。

 もし、パラダイム・シフトというものを予測するとするならば、それは、市場経済において”投機”に対してどのような対応を行うのか、ということで大きく方向性が分かれると思うのです。市場経済は、ギャンブル性の高い”投機”とは、そろそろ”さようなら”を告げる時なのかもしれません。

 

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