万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

一足早くやって来た石油危機?

2008年01月31日 18時50分46秒 | 国際経済
 石油の枯渇問題は、採掘技術の進歩からしますと、おそらく22世紀初頭頃に起きるではないかと予測されてきました。石油に替わる代替エネルギーは、その頃までに開発・実用化されればよく、長らく、まだ時間的な猶予期間があると見なされてきました。ところが、昨今の原油価格の値上がりを受けて、石油危機は、どうやら、一足早くにやって来てしまったようなのです。

 それも、今回の石油危機は、石油資源そのものの枯渇ではなく、投機的なマネーの石油市場への大量流入という人為的な原因によって引き起こされています。この石油価格値上がりは、確かに、バイオや自然エネルギーといった代替エネルギーの採算性を向上させ、普及を促進させたというプラスの側面もあるのですが、その一方で、実勢価格からの大幅な乖離が望ましいわけでもありません。環境を理由に、石油価格が高止まり、金融機関の投機行為が是認され、かつ、消費者と企業の負担が増加することも、何か、不合理な現象のように思えるのです。

 市場経済には、資源の効率的利用が自然に達成されるメカニズムが働いていると言われています。しかしながら、ここ今日に至って、環境というファクターが新たに参入してくることによって、このメカニズムに歪みが生じてしまっているようなのです。この歪みの究極的な解決の鍵を握るのは、安価な代替エネルギーの開発とは言えそうですが、投機行為の野放しもまた、金融危機を発生させる可能性を高めることも忘れてはならないと思うのです。
 
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