万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

子ども手当―地方選挙や住民投票で賛否を

2010年01月06日 13時16分49秒 | 日本政治
神奈川、子ども手当「満額支給」 知事ボイコット撤回(共同通信) - goo ニュース
 国民からの支持が必ずしも高いわけではない子ども手当。政府は、子ども手当の支給に必要な財源の一部を地方に肩代わりさせる方針のようですが、地方分権を主張するならば、地方ごとに、地方選挙の争点としたり、住民投票を実施して、賛否を問うてはどうかと思うのです。

 子ども手当の実態とは、定額の”若年年金制度”ですので、本格的にこの制度を導入するとなりますと、老齢年金制度と同様に、負担の問題は避けて通れません(受け取った給付金は、成人後に税金として納め、他の子どもの給付金となる・・・)。政府は、給付面ばかりを強調していますが、全額税負担となるこの制度は、増税なくして存続不可能なのです。この負担面を考慮しますと、政府は、正直に負担と制度について国民に詳しく説明すべき立場にあり、子ども手当は、本来は、国民投票にかけるべき事案です。しかしながら、国レベルでの国民投票制度がない以上、地方においてこそ、当事者である国民に選択を任せてもよいのではないかと思うのです。高福祉高負担を選択するか、低福祉低負担を選択するかは、地方が判断することになります(ただし、成人後の地方から首都圏などへの人口移動により、地方の間で負担にばらつきが・・・)。

 都道府県の中には、既にボイコットを表明する知事もおられるようですが、子ども手当について、地方を舞台に徹底的に議論することで地方の政治が活性化する可能性もあります。地方負担分の範囲ではありますが、政府が、マニフェストを盾に有無を言わさずに実施するよりも、遥かに意義があるのではないでしょうか。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする