万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国の”一つの中国政策”は帝国主義か

2010年01月30日 15時46分42秒 | アジア
米が台湾へPAC3など64億ドル兵器売却へ(読売新聞) - goo ニュース
 中国が声高に”一つの中国政策”を唱え、「反国家分裂法」といった法律を制定しているため、台湾の独立性には疑問が持たれがちです。しかしながら、よく考えてみますと、中国には、台湾の領有を主張する正当な根拠が欠如しているのではないかと思うのです。

(1)台湾は昔から独立国
 台湾が、大陸の中華帝国の版図に組み込まれた歴史は短く、清朝に至ってからのことです。しかも、清朝自体が、女真族による異民族支配の国家でしたし、台湾の直轄地化は、この地が”復明”の拠点ともなっていたからです。

(2)中華帝国の支配
 また、台湾の支配は、この王朝の”帝国主義”政策の一環でもありました。実際に、清朝の直轄領時代にあっても、本土とは異なる施政が敷かれていたと言います。

(3)民族構成の違い
 国民の構成もまた、高砂族の名で知られるように、漢民族ではない人々が多数居住しており、この点から見ましても、中国が台湾を領有する根拠は薄いのです。

(4)国際法上の根拠の欠如
 中国大陸における共産主義国家の成立に伴って、国民党が逃げ込んだという歴史的な事件はありましたが、これもまた、”中華人民共和国”が、台湾領有を主張する法的な根拠とはなり得ません(実効支配の事実もない・・・)。

 このように考えますと、中国の”一つの中国政策”は、中華歴代王朝の帝国主義の延長線上にあり、台湾領有の正当性を刷りこもうとする中国政府の宣伝作戦でしかないかもしれないのです。国際社会は、中国の強引な主張にこそ、異議を唱えるべきなのではないでしょうか。

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コメント (11)
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