万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国―”共産主義市場”の限界か

2010年01月13日 15時34分41秒 | アジア
米グーグル、昨年のサイバー攻撃で中国事業からの撤退検討(トムソンロイター) - goo ニュース
 統制経済から改革開放路線へと大きく政策を転換し、急激な経済成長を遂げた中国。21世紀は中国の時代と持て囃され、自由主義国との政治的な価値観の違いは、もはや意味はないとの見方もありましたが、果たして、その通りなのでしょうか。

 共産主義思想とは、政治・経済一元論であり、経済が政治を決定すると見なしています。この論理に従うならば、経済の自由化は、政治の自由化をももたらし、消費者と同じく、国民の一人一人に決定権を認めてもよさそうなものですが、実際には、政治の民主化は遅々として進んでいません。その理由は、いくつか考えられるのですが、もしかしますと、中国の”市場主義”の究極的な目的は、やはり政治、つまり覇権の確立と体制の維持なのではないかと思うのです。中国が自由貿易体制に参加する目的は、富や先端技術を吸収し、それらを国家戦略に役立てることにあって、国際経済における相互の繁栄も、国民に権利や自由を認めることも望んでいないと見られるのです。

 グーグル社に対する組織的なサイバー攻撃には、おそらく中国政府も関わっているのでしょう。中国の目を見張るような経済成長の裏側に、準備周到で陰湿な国家戦略が潜んでおり、”共産主義市場”には限界があることに、自由主義諸国の人々は気付くべきと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする