万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

自由の本質的な価値を理解しない中国

2010年01月25日 15時18分42秒 | 国際政治
米の価値観押し付け=ネット検閲批判に対抗-中国紙(時事通信) - goo ニュース
 中国政府は、グーグル社の撤退表明で関心を集めるようになった自国のネット検閲への非難に対して、アメリカ政府がイランの大統領選挙に際して「ツイッター」の整備のためのサービス停止を遅らせたことを事例に挙げて、アメリカもネットに政府介入しているとばかりに、自己弁護に努めているようです。しかしながら、両国のネットへの対応は、正反対なのではないでしょうか。

 何故ならば、アメリカ政府は、イラン国民の言論の自由を広げるために、国民が「ツイッター」を利用ができるように計らったからです。言論統制が敷かれている全体主義の国では、国民は、政府批判を自由に行ったり、政治的な意見を述べることは許されていません。もし、国民が本音を語り、意見を表明する自由が保障されていれば、国民の選択は、別のものとなっていたかもしれません。イランでは、国民に参政権があるという点においては、民主主義国家とは言えますが、言論の自由の保障なくしては、国民は、判断に必要な充分な情報を得ることもできず、形ばかりの民主主義に過ぎなくなるのです。

 中国の検閲問題の要点は、政府がネットに対して働きかけを行ったか否かではなく、国民に対して言論の自由を制限していることにあります。アメリカ政府は、イランのケースと同様に、中国に対しても、ネットにおける自由な議論と発言を許すように中国に求めているのです。中国政府は、そもそも言論を弾圧しなければ維持できない体制は、人間性の本質に反していることを理解すべきと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする