万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

難民の第三国定住は先進国の驕りか

2010年01月31日 15時22分03秒 | 国際政治
ミャンマー難民の面接開始へ=日本での定住に向け-タイ北部(時事通信) - goo ニュース
 政府から迫害を受けている人々を受入れ、保護することは、弱者救済の観点から社会倫理にかなうことです。しかしながら、難民の人々に第三国での定住を勧めるとなりますと、これは、行き過ぎた親切なのではないかと思うのです。

 何故ならば、その発想の原点には、先進国での生活の方が良いに決まっている、という驕りがあるからです。本当のところは、難民の人々は、心の底から先進国に定住したいと思っているのでしょうか。外国で定住するとなりますと、家族や親族に別れを告げ、住みなれた家を後にし、寄る辺なき身ひとつでの外国生活を余儀なくされます。定住先の言語や生活習慣などを身につけるには、相当の努力と苦労が必要ですし、将来の就職の心配もしなければなりません。先進国は、第三国定住を慈善事業の一環と見なしているようですが、将来における帰国を前提とした保護の方が、難民の人々にとりましては、望ましいかもしれないのです。

 現在、ビルマは、軍事政権が誕生しており、今なお、過酷な支配が続いているようです。こうした中で、先進国が政府から追われた人々を定住を前提に、際限なく受け入れてしまっては、ビルマという国は、いつまでたっても民主化に向けての改革が進まなくなります。気に入らない国民は、追い出せばよいのですから。難民の人々は、受け入れ国で良き国の在り方を学び、その知識を、将来のビルマ再建に生かすほうが、有意義なのではないかと思うのです。先進国は、むしろ、良き国造りを手助けすることで、ビルマという国そのものを助けるべきなのではないでしょうか。

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コメント (8)
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