万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

外国人参政権問題―同郷の結束力の軽視

2010年01月27日 15時40分01秒 | 日本政治
外国人参政権 首都圏の知事、相次ぎ「反対」(産経新聞) - goo ニュース
 外国人への参政権付与の問題については、しばしば参政権を要求する側による”外国人差別の撤廃”の主張がなされてきました。参政権がないのは、憲法が保障している法の下の平等に反すると。しかしながら、その半面、在日韓国・朝鮮人のみならず、中国出身の永住外国人の方々にも、出身国に対する強い”こだわり”と”絆”が伺えるのです。

 この問題に関して、最高裁判所の”合憲判決”の傍論において展開された論理とは、特別永住外国人に限っては、地方において、一般の日本人と同様の生活を送っているというものでした。ところが、実態はどうかと申しますと、出身国を同じくする人々の集住地区が形成され、民族団体も組織されています。参政権付与運動も、本国政府、民族団体、および帰化した議員の方々が中心になって行われました。つまり、この運動自体が、自ら”民族の団結力”を証明したようなものです。この団結力が、一般の日本人の人々に脅威を与えたとしてもおかしくはありません。中国籍の人々に至っては、長野の聖火リレーで、本国政府の動員力を見せ付けました。

 参政権を要求する側には、コスモポリタン的な普遍主義を唱えて居住国の民族性を否定しながら、その一方で、自らは出身民族に固執しているという矛盾した態度があります。地方レベルでの参政権反対が増加するのも、この矛盾に気づいた日本人の側の危機感の表れであると言えるかもしれません。

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コメント (4)
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