万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

民主主義は国民の判断力を信じている

2010年01月26日 15時42分44秒 | 日本政治
亀井氏「国民の相当数、冷静な判断能力ない」(読売新聞) - goo ニュース
 しばしば民主主義の欠陥として、冷静さを失った国民が暴走し、誤った道を選択しやすい、と指摘されてきました。亀井氏も、小沢氏側を一方的に非があるように報じるマスコミの論調と小沢氏に対する国民の非難に対して、”民衆裁判”や”衆愚政治”が頭を過ったのかもしれません。

 確かに、国民の判断が常に絶対正しいとは言えないのですが、その半面、国民の判断はいつも愚かで間違っているとも言えないものです。民主主義とは、国民の判断力を信じているからこそ成立する制度であり、国民の能力を否定したら、この制度も崩壊してしまいます。この点に関して歴史の流れを見ますと、一人の人物に判断を任せる独裁国家よりも、民主主義国家の方が柔軟性があり、また、理性的な対応を行う傾向にあるようです。為政者といえども、国民の非難に晒される体制の方が、全体としては判断を誤らないのです。

 ”独裁者”とすら揶揄された小沢氏に対する国民の非難こそ、健全な国家を保つために必要な反応であったとも言うこともできます。政治家もまた、絶対な判断力を備えているわけではないのですから。
 

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コメント (2)
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